日銀・黒田総裁会見9月22日(全文2)2%の物価安定目標は達成できる
これまでの成果の振り返りと今後の意気込みを
毎日新聞:毎日新聞の竹地と申します。よろしくお願いします。すみません、私もちょっと今日の会合と離れて恐縮なんですが、黒田総裁は9月29日に歴代総裁として任期最長を迎えられることになります。くしくも今言った自民党総裁選の投開票日ではあるんですけども、就任当時、アベノミクスを掲げる安倍政権の政治の後押しで就任されたということですが、当時の安倍首相や路線を継承する菅首相も政権を退くことになって、ある意味さまざまな節目の時期なのかなというふうにも言えます。長期安定型とも言えるこの執行体制の中で、物価目標の2%の達成が難しい中で、残りの任期でどこまで効果のある金融政策を進められるのか。昨今のこの政治的な環境の変化へのご所感も含めて、改めてこれまでの成果の振り返りと、今後の目標達成に向けた意気込みを確認できればと思います。 黒田:まず、日本銀行の金融政策というのは、先ほど来、申し上げているように日本銀行法で、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する、とか、決済その他の金融システムの安定を図るっていうようなことが、2つの大きな目標、目的として掲げられておりまして、あくまでもそれに沿って金融政策を運営してきたわけであります。 その下で2%の物価安定目標というのは、ご案内のとおり、私が2013年の3月に就任する前に、1月の金融政策決定会合で2%の物価安定目標を、できるだけ早期に実現するっていうことで政府との共同声明にも盛り込まれるということであったわけですね。そういうことを踏まえて、これまでも努力してきましたし、今後とも引き続き努力をしていくということに尽きると思います。
金融緩和がなければ経済成長率はさらに低かった
今年に入ってお示しした点検でも、現在のような量的・質的金融緩和というか、長短金利操作付き量的・質的金融緩和で非常に大幅な金融緩和を粘り強く続けているわけですけれども、こういうことをしていなかったらどうなっていたかっていうことを、マクロモデルなどを使ったシミュレーションで分析していますけども、そうしてなかったら、経済成長率もさらに低く、物価上昇率もさらに低く、雇用もこれほど拡大していなかったということが示されているわけですね。これは2%の物価安定目標の達成に向けて、金融政策を運営してきたっていうことは正しかったということだと思います。 ただ、ご指摘のように、現在の施策委員会の見通しでも、2023年でも消費者物価上昇率は1%程度で、2%に達しないということであります。ただ、先ほど来、申し上げているとおり、粘り強く金融緩和を続けることによって、GDPギャップを縮小、プラスにし、そして実際に物価が上がっていけば、いわゆるインフレ期待というか、物価上昇期待も高まっていくと。GDPギャップと物価上昇期待の両者で、2%の物価安定目標は達成できるというふうに考えております。