17万603組…「離婚した夫婦の88.3%」は要注意、別れてから2年後に「取り返しがつかなくなること」【弁護士が解説】
離婚をすることになったものの、調停や裁判をするほど話がこじれていないという場合に、当事者同士の話し合いで離婚を決める方法が「協議離婚」です。調停や裁判による離婚では調停調書や判決書が作成されますが、協議離婚をするときは、自分たちで離婚協議書を作らない限り、書面で離婚の条件の内容は残りません。口約束のみでは、あとになってそんな約束をした覚えはないといわれる可能性も。では、離婚協議書はどのように作成すればよいのでしょうか? 本記事では、離婚協議書の作成についてAuthense法律事務所の白谷英恵弁護士が解説します。 都道府県「離婚率」ランキング
「離婚協議書」とは?
離婚協議書とは、「協議離婚」をするにあたって、当事者同士で離婚の条件について定めた契約書のことです。 日本は協議離婚が多いが…あまり知られていない離婚協議書の重要性 夫婦が離婚する方法は、大きくわけて、以下の3種類があります。 ・話し合いのうえ、離婚届を役所に提出する「協議離婚」 ・家庭裁判所での話し合いの手続きを用いて離婚する「調停離婚」 ・裁判所の裁判手続きで、夫婦間に離婚原因があるかどうかを、裁判所が証拠に基づいて判断する「裁判離婚」 もう一つ審判離婚という方法もありますが、実際にはほとんど利用されていません。このうち、もっとも一般的な離婚方法は、話し合いで解決する協議離婚です。実際、政府の統計でも2020年に離婚をした夫婦19万3,253件のうち、17万603組、およそ「88.3%」が協議離婚を選んでいます※1。 しかし、協議離婚ではお互いの意思で離婚協議書を作らない限り、離婚時の財産分与や養育費の支払いなどの約束が証拠にのこらない危険があります。 ・「浮気をした相手と一刻も早く別れたいので離婚届を提出した。しかし離婚後、約束していた慰謝料と養育費が振り込まれない」 ・「子どもと月に一度面会させてくれるという条件で離婚届に判を押したが、あれこれと理由をつけて面会を断られている」 といったトラブルが起きた際、離婚協議書がないとトラブルを解決するまでに多大な労力と時間と費用がかかってしまうでしょう。 離婚協議書は、自分や子どもの権利・財産を守るために必要な合意書なのです。自分からお金のことについて話題にすることを嫌がったり、相手から責められて交渉をするのが嫌になったりする人も多いですが、どれだけ信頼している相手であったとしても、離婚後に考えが変わり、離婚条件が守られない可能性はあります。 離婚時に苦労するかもしれませんが、離婚時の約束を確実に履行してもらうためにも、協議離婚をする場合は積極的に離婚協議書を作成しましょう。 離婚協議書を公正証書にすれば、養育費などを回収しやすくなる 離婚協議書は、あくまでも当事者同士が作成する合意書です。そのため、たとえ離婚協議書で「月3万円の養育費を支払う」と決めていても、協議書を作成した段階では、相手が支払いを滞らせた際に給料を差し押さえるといった対応を直ちにとることができません。 しかし、作成した離婚協議書を「公証役場」で「強制執行認諾付公正証書」という書類にすれば、裁判所の強制執行により、給与の差し押さえなどもできます。公正証書を作る際に費用がかかるものの、相手が履行を怠った場合に備える必要がある場合、公正証書にすることも検討するとよいでしょう。この公正証書については、後ほどくわしく解説します。
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