日銀・黒田総裁会見9月22日(全文2)2%の物価安定目標は達成できる
手段の段階の違い、ターゲットの違い
ですから、それぞれの国の金融とか経済の動向に合わせて金融政策を採っておられると思うんですけども、わが国の場合は短期金利が非常に低くなっている。そうした下で、直接的に長期国債を買い入れることを通じて長期金利を低位にするということは効果があり、有効であるということ。それから、先ほど来、申し上げたように、総括的検証でも明らかにしている、点検でも明らかにしてましたけど、あまり超長期の金利が下がり過ぎると消費にもマイナスの影響が出うるので、そういうことにならないような適切なイールドカーブをつくるという観点から、今のイールドカーブ・コントロールをしているわけで。 ある意味で、ここまでやってる中央銀行はほかにあまり見当たらないのかもしれません。先ほど申し上げたように、中期的な金利をターゲットにしている中央銀行はあるんですけども、欧米の主要な中央銀行は皆、量的な調整方針を立ててやっておられますので、少しその点は違うかなと。ただ、これはツールの、手段の段階の違い、ターゲットの違いであって、金融政策のチャネルを、全然違うことを考えているというわけではないということはご理解いただきたいと思います。
2%目標について政府から議論の打診があったら?
ブルームバーグ:ブルームバーグニュースの藤岡です。2問、お願いします。まず1問目は、日銀がマイナス金利を続ける中で、コール翌日物の金利の上昇、ゼロに近づいているという指摘が市場の中であります。この点について総裁はまずどのようにお考えになっているのか。 それともう1点が、ちょっと自民党総裁選と関連してしまうかもしれないんですが、一般論として、この共同声明について、これは政府と日銀の間で交わされたものだと思うんですが、仮に政府のほうから共同声明の修正について、もう総裁は再三、2%の必要性というのをご説明されてきていらっしゃいますけれども、政府のほうから議論をしようという打診があった場合、総裁としてはどういうお考えなんでしょうか。 黒田:前者につきましては、短期金利、コールとかその他市場の短期金利の動きをご覧になっていただくと分かるように、確かにちょっと一時的にコールレートがゼロに近いとこまでいったとかいう、ありましたけど、また下がってますし、あまり今の時点で何か困ったことになってるという感じはまったくありません。それから短国のレートはもうずっとマイナス0.1%ぐらいで安定してますし、基本的に今のマイナス金利っていうか短期金利の動きが金融政策と矛盾する方向に動いてるっていうことはまったくないというふうに思います。 それから新総裁あるいは新首相がどうかということについては、政治的な情勢はあまり私からコメントすることは差し控えたいと思いますけども、先ほど申し上げたように共同声明自体は2013年の1月に当時の政府と日銀で、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のために、それぞれがそれぞれの役割を分担してしっかり果たして、そして連携してマクロ経済政策の運営に当たるっていうことを示したもので、この間の政府と日本銀行は共同声明に沿って必要な政策を実施してきたと思いますし、そのことはわが国の経済を支える上で大きな役割を果たしてきたと思っておりますので、共同声明うんぬんについて何か申し上げることはありませんが、日本銀行としては引き続きこうした考え方に沿って適切に金融政策運営を行っていきたいというふうに考えております。