出場OK?責任はどこに?飲酒問題を起こした山辺高とその部員の全国高校サッカー選手権出場を巡って是非論過熱
大晦日に開幕する第99回全国高校サッカー選手権で、奈良県代表として初出場が決まっている県立山辺高校のサッカー部員が寮内で飲酒していた問題を受けて、チームの全国選手権出場と、その飲酒部員の出場の是非を巡って議論が過熱している。 奈良県教育委員会は8日に、一部のメディアで報じられていた山辺高の2年生部員10人の飲酒を発表。11日には同校とともに奈良県庁内で記者会見を開き、予定通り全国選手権に出場すると表明するとともに、当該生徒についてはその後の状況を見極めた上で出場の可否を判断する方針を示した。 17日には再び記者会見を行い、道徳教育や個人面談、ワークシート提出など1週間におよぶ特別指導を実施した結果、反省が見られた8人の全国選手権出場を認めると明言。反省が不十分と判断された残る2人の出場は認めず、引き続き特別指導を行っていくことになった。 報道によると全国選手権出場をあらためて明言した同校の吉岡敏之校長は「彼らがせっかくつかんだ機会を奪ってはならない」と他の部員の思いを尊重したと説明。教育委員会の吉田育弘教育長は「酒を飲むことはダメだが、教育として反省状況で判断した」と8人の出場を認めた理由を説明している。 サッカー部員の飲酒に関しては、10月上旬の段階で外部から情報が提供されていたにもかかわらず、学校側は積極的に調査しなかった。全国選手権初出場を決めた直後から再び情報が寄せられ、さらに今月に入って証拠写真も提出される事態を迎えて、初めて重い腰を上げた経緯がある。 そして、3年生までを含めた部員37人に対して聴き取り調査を実施した結果として、レギュラー選手を含めた2年生部員10人が飲酒を認めた。8月に6人がウイスキーを、9月には10人が缶チューハイをそれぞれ寮近くの店舗で購入し、寮内の一室で飲んでいたという。 公立校ではあるものの、山辺高のサッカー部は他校とは一線を画す形態が取られてきた。奈良市内に本社を置く食品会社、天平フーズが経営するボスコヴィラサッカーアカデミーと2017年に提携。同アカデミーに所属する選手たちを、同校のサッカー部員としても活動させてきた。