徳島、福岡が決めたJ1昇格争いにあった壮絶ドラマ…長崎に突きつけられた残酷な結末
勝ち点わずか5ポイント差内に3チームがひしめき合い、新型コロナウイルス禍の影響で上位2チームのみとなったJ1昇格枠を争っていた大混戦が、20日の最終節を残して決着を見た。 19時キックオフで11試合がいっせいに行われた16日の明治安田生命J2リーグ第41節で、首位の徳島ヴォルティス、勝ち点3ポイント差で2位のアビスパ福岡がともに勝利。同2ポイント差で3位のV・ファーレン長崎が引き分けたため、徳島と福岡の2位以内とJ1昇格がそれぞれ決まった。 勝てば無条件で7年ぶりのJ1昇格が決まる状況から水戸ホーリーホックに0-1で敗れ、ジェフユナイテッド千葉とは0-0で引き分けて足踏みを強いられていた徳島は、前半21分にFW垣田裕暉があげた先制点を守り切って大宮アルディージャを撃破。気温5度と冷え込むなかでホームのポカリスエットスタジアムに駆けつけた、5529人のファン・サポーターとともに至福の喜びを共有した。 4年続けてキャプテンを任されてきた32歳のボランチ岩尾憲は、勝利とJ1昇格を告げるホイッスルが夜空に鳴り響いた瞬間に摩訶不思議な感覚に襲われ、気がつけば頬に涙を伝わせていた。 「こういう瞬間が訪れることを想像してはいましたけど、でもどこかリアルじゃないイメージしかなかったので。ホイッスルを聞いたときは現実なのか何なのかちょっとわからない瞬間がありましたけど、仲間の歓声と僕を呼ぶ声といろいろなものが相まって、これは現実なんだと認識できました」 2017シーズンは最終節でまさかの黒星を喫し、J1昇格プレーオフに進出できた5位から無情にも圏外へ転落した。4位からJ1参入プレーオフを勝ち抜いた昨シーズンは、決定戦でJ1の16位だった古巣・湘南ベルマーレを追い詰めながら引き分けに終わり、規定により湘南のJ1残留が決まった。 涙の理由を問われた岩尾は、過密日程のなかで全41試合に出場し、プレー時間がチーム最多の3510分を数えた今シーズンで、特に3年前の黒星が脳裏から消えなかったと打ち明けた。