何が明暗を分けたのか…ヤクルトの“神がかり“サヨナラ劇と裏目に出た阪神の矢野監督の”直接ゲキ”
ついにヤクルトと阪神のマッチレースで勝敗が分かれた。首位のヤクルトは7日、神宮での巨人戦で、9回一死までノーノーリレーを許していたが、守備の乱れをつき神がかり的なサヨナラ勝利で6連勝。2位の阪神は横浜スタジアムでの横浜DeNA戦でソトに逆転2ランを打たれて連勝がストップ、ゲーム差が「2」に開いた。今日8日に両チームは神宮で直接対決するが、ヤクルトが勝利、あるいは引き分けでも優勝マジックが点灯する。
及川がソトに痛恨の逆転2ランを浴びる
先に敗れたのは阪神だった。 神宮の杜でヒーローとなるヤクルトの山田は「(阪神の敗戦を)知らなかった」という。 悪夢は3-2の1点リードで迎えた8回に起きた。 矢野監督は、伊藤将、アルカンタラの継投から左腕の及川にスイッチした。本来ならば「8回の男」は岩崎だが、連投していたこともあり、1日休養していた「7回の男」の及川を抜擢した。その継投が誤算だった。先頭の横浜DeNAの新4番、牧に粘られ四球を与えた。続く宮崎はフルカウントから三振に打ち取ったが、スタートを切っていた牧に盗塁を許した。スコアリングポジションに走者を置き、ソトを迎えたところで、矢野監督が動く。なんと自らマウンドに行き、及川にゲキを飛ばしたのである。 「思い切っていけ!」 この場面で、バッテリーには、2つの選択肢があった。逆転の走者にはなるが、一発を警戒して空いている一塁にソトを歩かせて次打者の大和で勝負するか、細心の注意を払ってソトに全力集中するかである。 ソトは調子を落とし、この3連戦の初戦ではスタメンから外され、オースティンの離脱もあってスタメン復帰した前日のゲームでもチャンスにボール球を振って凡退していた。ソトとの勝負を選択したのは間違いではない。 だが、わざわざ指揮官がマウンドにやってくるという“特別な行動“が、「一発だけは避けたい」という及川を意識過剰にさせたのかもしれない。 報道によると、矢野監督は「ここで投げさせていいと思って使っているから」とも語ったそうだが、普段通りに行動して平常心で勝負させるべきだったのだ。 及川はソトをポンポンと追い込んだ。ベンチ前で矢野監督が、両手で四角形をジェスチャーで作り、おそらく、「ストライクゾーンで勝負しなくていい、ボール球で誘え」というメッセージを伝えた。 及川の3球目は、外角高めのボールゾーンに投じられたが、151キロを表示したストレートにソトは手を出してファウル。そして、ここから2球続けて、及川は、外角への明らかなボール球を投げた。 追い込まれたカウントで、いわゆる外すボールが続くと打者心理は楽になる。逆に及川はフルカウントにする前に勝負球を投げなくてはならなくなった。そして、運命の6球目は外角へのツーシーム。及川は高さを間違った。