阪神・西勇輝”激投”6勝目裏に「エース失格」声への反発心…「見ている人全員が2点取られるだろうなの雰囲気だったので」
ヤクルトが負けなければ阪神も負けない。阪神は6日、横浜スタジアムで行われた横浜DeNA戦に2-0で勝利して5連勝。両リーグを通じて70勝に一番乗りし、ヤクルトと共にクライマックスシリーズ進出を確定させた。通算100勝以来、ふがいない投球が2試合続いていた先発の西勇輝(30)は、再三ピンチを背負いながらも梅野隆太郎(30)のサインにクビを振らない「信頼と気迫」に満ちた粘り強い投球内容で6回を無失点に抑えて6勝目。”エース失格”の烙印を押されていた西が、ここにきて存在感を示した意味は大きい。今日7日の先発は横浜DeNAに3勝1敗と相性のいいドラフト2位左腕の伊藤将司(25)。6連勝で8日からのヤクルトとの首位決戦(神宮)に挑む決意だ。
梅野のサインにクビを振らない「信頼と気迫」
“いつもの西“とは違っていた。 梅野のサインに、ほとんどと言っていいほどクビを振らない。自慢の四隅をつく制球は、ベストでもベターでもなかったが、信頼と気迫があった。走者を出してからのリズムとテンポ、なにしろ絶妙な配球で打者にペースを握らせないのだ。 最大のピンチは、ロハスの7号2ランの援護をもらった直後の4回にあった。3番の楠本と、左足ふくらはぎ肉離れで登録抹消されたオースティンに代わり、プロ初の4番に抜擢されたルーキー牧に連打され、無死二、三塁の同点機。この試合までの防御率3.84が示すように“いつもの西“なら踏ん張りきれない場面である。”エース失格”…そんな空気を西も感じざるを得なかったという。 「見ている人全員がもう2点取られるだろうなという雰囲気だったので逆手にとって気持ちで投げた」 心に抱いていたのは反発心である。 考えすぎて”負のスパイラル”に沈む西の姿は、そこにはなかった。サイン交換で、クビを振るでも、うなずくでもなく、梅野への信頼が当たり前のように気迫を込めて腕を振った。 宮崎に対して、カウント3-0となったが、2球目の内角シュートが布石となった。カウント3-1としてから外角を狙ったスライダーは甘く浮いた。だが、宮崎の強烈な一塁ゴロがマルテの正面をついた。走者は三塁に釘づけ。さらに一死二、三塁の「外野フライでも1点」のピンチが続くが、梅野のサインに一度として、クビを振る素振りを見せず、カウント1-1からシュートを4連投。最後はボール気味の外角のチェンジアップをひっかけさせた。