どうなる?揃って3連勝したヤクルトと阪神のV争いを“球界大御所”が紐解く…「一丸ムードの燕」と「投手力の虎」
セ・リーグの優勝争いは首位のヤクルトと阪神のマッチレースとなっている。3日もヤクルトは、史上103人目の通算500試合登板となった41歳のベテラン、石川雄規が5回まで無失点の好投を見せて4-1で広島に3連勝。阪神も先発のジョー・ガンケル(29)からの完封リレーで中日に1-0で勝ち3連勝。首位を5.5ゲーム差で追いかける3位の巨人も9回二死から代打の大城卓三(28)のタイムリー二塁打で追いつき引き分けに持ち込んだ。ヤクルトは残り20試合。数字的にはヤクルトが有利だが、阪神との直接対決が5試合残されており、勝負の行方はまだまだわからない。巨人OBでヤクルト、西武の監督として日本一を手にしている“球界大御所”の広岡達朗氏に今後の展望を聞いてみた。
ヤクルト青木のリーダーシップと村上、塩見ら若手との融合
ヤクルトの勢いが止まらない。 広島の“金メダリスト”森下の立ち上がりを攻め、塩見、青木の1、2番の連打で無死二、三塁とすると山田が犠飛を決め先制。5回までベテランの石川がコーナーを丁寧につく熟練のピッチングで無失点に抑えてゲームを作った。6回につかまり、2番手の大西が同点にされたが、8回二死二、三塁、フルカウントからサンタナが森浦のチェンジアップをバットの先で拾ってセンター前へ運び、2者が生還する勝ち越しのタイムリー。9回には、青木が打った瞬間にライトスタンドへと消える7号ソロで貴重な追加点を奪い、最後は、Vスパート用にブルペンに転向させたA・スアレスが自ら招いたピンチを切り抜けて来日初セーブ。清水、マクガフの2人を休養させて4-1のスコアで同一カード3連勝を飾った。 ちなみに中日を1-0と投手陣の完封リレーで下した阪神も9回に弟のR・スアレスが36セーブ目をマークしており、球界初の兄弟同日セーブの達成となった。 敵地のマツダスタジアムで、ヒーローインタビューに選ばれたのは、決勝打のサンタナ。「いい球を待った。(球場にできた)影で見えにくかったが、最高の気持ち。チームがリードを奪えて良かった。毎日プレー機会をもらえているから頑張れている。チームが勝っていると雰囲気がいい。チーム一丸で優勝を狙っていく」と好調のチーム状態を言葉に表した。 元ヤクルト監督の広岡氏は、この一丸ムードを評価した。 「優勝を争っている3チームの中で最もチームが一丸となり、まとまっているのがヤクルトだ。ベンチの様子を見てもベテランから若手までが楽しそうに野球をやっている。ヤクルトの強みは青木というメジャーも体験したチームリーダーがいること。この日も初回に先制点につなげる二塁打、そして、あと1点が欲しかった9回にホームランを打ち結果も出している。おそらく満身創痍なのかもしれないが、痛い、痒いを言わずにゲームに出てチームを引っ張っている。チームリーダーがいない阪神とは対照的だ。そこに村上、塩見という元気のいい若手がいて、今季は中堅で捕手の中村が攻守にわたって、いい仕事をしている。チームに勢いが出るのも当然だろう」