プロ注目の天理・達、中京大中京・畔柳の両エースに異変?!…「1週間500球」の球数制限に問題はなかったのか?
試合後には、「思ったより疲労が抜けていなくて、準備の時から肘が重く力が入らない状態だった。痛いという感じではなく、急いで準備して腕に負担がかかって力が入らない状態。何とかチームを勝たせたいと、その一心で投げていた。途中降板して、とても申し訳ない気持ちです。夏にはタフさを身につけたい」と説明していた。チームは1点差まで迫ったが、1997年以来、9度目の決勝進出はならなかった。 今大会から、投手の肩、肘など健康を守るため「1週間で500球」の球数制限が設けられていた。スカウトから「大会ナンバーワン」の声が多く聞かれた小園健太投手(3年)を擁した市和歌山は2回戦の明豊戦で、そのエースを温存して惜敗した。 「決勝で小園を投げさせるために投球制限も含めての決断だった」と、半田真一監督は説明していた。 「球数制限」は、ひとつの「抑止力」となっており、大会を通じて、エース、投手をチーム全体で守るという意識は高まっているようにも感じた。だが、結局、その球数制限を導入しても、プロ注目の2人のエースは、登板過多によるアクシデントに追い込まれた。 深刻な故障を回避できたという見方もできるが、ネット裏で、スカウトも含めて科学的根拠のない「1週間500球」の球数制限はナンセンスだとの声も多く聞かれた。 「そもそも1週間で500球は投げすぎ。監督に、そこまでならいいという言い訳にもなり、選手の肩、ヒジを守ることにはならない」と嘆くスカウトもいた。 日程による不公平さも生じた。 達、畔柳の3試合の投球数は、459球と379球だったが、3月20日が1回戦だった達の場合は、27日の時点で、初戦で投げた161球がカウントされず、この準決勝では202球までの投球が可能だった。しかし、25日が1回戦だった畔柳は、すべてが合算され、この日は、121球を超えて投げられないルールになっていた。1週間と区切った制限では、本来の目的とは、かけ離れた問題が起きることも浮き彫りになった。 元千葉ロッテの評論家の里崎智也氏も「1週間で、500球の制限ではなく、1週間で500球を投げることができないようなルールにしなければ意味はない」と疑問を投げかける。 「私は球数制限なんていらないという意見。たとえば日程に余裕を作れば、1週間で500球を投げたくとも投げることができなくなる。問題になる夏の地方大会での日程も、連戦を避ける日程を組めばいいだけのこと。それが無理ならば、極論だが、7イニング制を導入すればいい。高校サッカーや高校ラグビーでは“プロ”と試合時間が異なっているではないか」