プロ注目の天理・達、中京大中京・畔柳の両エースに異変?!…「1週間500球」の球数制限に問題はなかったのか?
プロ注目の2人のエースが甲子園を去った。天理の達孝太は登板を回避、左腕の仲川一平が先発して8回1失点の好投を見せたが、0-2で東海大相模に敗れた。中京大中京高の畔柳亨丞は先発を回避して4回途中から救援登板したが「腕に力が入らない」という異常を訴えて31球で降板し、明豊に4-5と惜敗した。今大会から「1週間で500球」の球数制限が導入されていたが、達は、ここまで3試合で459球、畔柳は3戦で379球を投げていた。制限内でも異変が起きてしまった現状を踏まえ、このルールの是非が問われている。
「メジャーの目標がある。故障したら意味がない」
甲子園マウンドに天理の193センチの長身エースの達はいなかった。最速149キロ。プロの元監督が「面白い。ボールに外国人のような角度があり、大きいわりに自分で体をコントロールできる」と評価する右腕だが、中村監督は30日夜、宿舎での夕食時に「もう投げないよ」と伝え「達も受け入れるようにうなずいていた」という。 達は今大会最多の164球を投げた29日の準々決勝の仙台育英戦後に脇腹に痛みを覚えた。「試合中は気づかなかったが、バント処理で滑ったときかなと思う。投げられない状態ではなかったが、メジャーリーガーという目標があるので故障したら意味がないと思って監督と相談した」と登板回避の舞台裏を明かした。 この日、7回に達がブルペンに向かって投球練習を始めたが、中村良二監督は「(登板は)100%なかった」という。 本人曰く、「勝てば次の試合(決勝)に投げるつもりでいたので明日に向けての感覚づくり」という狙いがあってブルペンに入った。先発した左腕の仲川は1失点と踏ん張ったが、打線が東海大相模の左腕・石田隼都に完封されて達の春は終わった。 中京大中京の畔柳も先発を回避された。 パ・リーグのスカウトが「中日にドラフト1位で指名された高橋以上の逸材。すぐに抑えで通用すると思えるほどの馬力がある」と評価する最速151キロの右腕。初戦が25日だったため、ここまでトータル379球。この日、投げられる球数は121球となっていた。 畔柳はチームが5点を失った4回2死二塁で、緊急リリーフ登板。6回終了まで打者7人をノーヒット、3者連続を含む5三振を奪い、流れを引き寄せかけたが、6回に代打を送られ、31球で不可解な降板となった。今大会で149キロをマークしていた持ち味の直球は最速140キロ止まり。変化球とテクニックでかわしたが、明らかに球威を欠いていた。 実は、畔柳は「腕に力が入らなくなった」と訴え、大会の理学療法士からもストップがかかった。