高野連が新潟独自の球数制限実施に“待った”の賛否
日本高等学校野球連盟(日本高野連)は20日、大阪西区の中沢佐伯記念野球会館で理事会を開き、新潟県高等学校野球連盟(新潟高野連)が今春の県大会から導入予定だった1試合100球の投手の球数制限について「部員不足の加盟校が多い現状では慎重であるべき」「勝敗に影響を及ぼす規則については全国で足並みを揃えて検討すべき」などの理由から再考を申し入れることを決定した。 ただ球数制限については「未来の高校野球発展には避けて通れない課題である」と捉え、専門家を交えた「投手の障害予防に関する有識者会議」を4月に発足させ多角的に検討していくことも決めた。有識者会議のメンバーは未定だが、今回、一石を投じた新潟高野連には会議への参画を依頼した。 新潟高野連は昨年12月22月に肩や肘などの故障を予防するため春季県大会から1試合100球の投手の球数制限を導入することを決定、日本高野連では、この実施に関して各委員会で審議を重ねてきた。 この日の理事会でも選手の障害予防の観点から、その趣旨、方向性に賛意を表す意見が出されたが、一方で、慎重意見、反対意見も出た。 日本高野連のリリースによると「部員不足の連合チームが増加し、各校野球部の部員数に二極化が見られ、部員数が20名以下の加盟校が全体の約4分の1を占める現状では、投球数制限に踏み込むのは慎重であるべき」、「タイブレークを規制化した際にも各都道府県高等学校野球連盟、加盟校、日本高校野球連盟で意思疎通を図りながら進めてきた。今回のような勝敗に影響を及ぼす規則については全国で足並みを揃えて検討するべきではないか」、「専門家の意見も聞き、投手の障害予防について練習、練習試合、公式戦など様々な施策を検討したうえで方向性を示す必要がある」との3つの意見が出されて賛同が多かったため、新潟高野連に実施の再考を申し入れることになった。 つまり投球制限を導入すると満足にメンバーの揃わない学校や昨夏に吉田輝星(現日ハム)が県大会から1517球を投げて甲子園決勝まで進んだ金足農業のようなワンマンチームが不利となり、公平性が保てないことに加え、新潟高野連が先行導入することで、日本高野連の認定したスポーツ医科学の根拠、データがないまま、なし崩し的に全国へ広がることを懸念したと見られる。