第2の“佐々木朗希問題”を起こさないための解決法
プロ注目の大船渡の163キロ右腕、佐々木朗希投手が岩手大会決勝戦を故障予防のため登板回避した問題の波紋はまだ続いている。テレビ番組で、プロ野球の“ご意見番”や、かつて“腹切り発言”で話題を集めた高校野球の元著名監督までが「投げさせるべきだった」と主張。カブスのダルビッシュ有がツイッターで、その都度、反論を発信するなど議論が絶えない。そんな中、元千葉ロッテの“モノ言う評論家”の里崎智也氏が、今後、“第2の佐々木問題”を再発させないための解決法として独自の意見を明らかにした。 里崎氏は、「投げさせても投げさせてなくてもどちらでもいいんじゃないですか」というスタンスだが、「監督が選手の将来を考えて批判を承知で決めたんだから周囲がとやかく言うべきではないという意見がありますよね。それなら投げ過ぎの場合も、周囲がとやかく言うべきではないと思うんです」と、一部の議論のあり方に疑問を呈した。 今回の佐々木問題では、独自理論で知られる元プロ野球監督が「周りがとやかく言う問題じゃない。指揮を執った監督が最善策を取っただけ」とコメントするなど「周囲が口を挟む問題ではない」という意見が少なくない。だが、里崎氏が指摘するように昨夏、金足農の吉田輝星(現・日ハム)が秋田大会、甲子園を通じて1517球を投げ抜いた際には、「周囲がとやかく言う問題ではない」という意見はほとんど聞かれなかった。これも“投げ過ぎは悪”という主張が、ある意味、正論になりつつある時代の流れの裏返しなのだろう。 その上で里崎氏は、こんな提案をした。 「各学校が指導方針を事前にアナウンスすべきだと思うんです。“うちは選手の健康、安全を第一に考えて無理に投げさせません。それで甲子園に出場できなくても仕方がありません”なのか、逆に“うちは甲子園に出場するために猛練習を課すし、試合でもどんどん投げさせるゴリゴリ派です”なのか、各学校が方針を公表して、生徒は希望する指導方針の学校を選択すればいいのではないでしょうか。15、16の子供にそういう選択ができるのか、という意見もあるかもしれません。でも、大人でさえ選択を間違える世の中です。ご両親と相談もできるし十分に高校進学の決断はできる年齢だと考えます。そうなると各自が納得の上で学校を選ぶわけですから、今回の佐々木君の問題のような論争は、まず起こりません」 ユニークな提案だ。 今回の大船渡の監督のようなメジャー式か、旧来型の猛練習、勝利至上主義か、の“マニフェスト”のような指導方針を各学校が事前に公表して、それをもとに生徒が学校を選択するのなら、各自の自己責任であり、今回のような問題は起きないのではないか、という主張 だ。その指導方針そのものに賛否は出るかもしれないが、生徒も納得ずくで進学し事前に指導方針が明らかになっているのだからメディアや球界関係者も結果を見て批判するわけにはいかないだろう。