「理解に苦しむものはみんな化け物扱い」――闘い続ける“不死鳥”、美輪明宏の人生
美輪は2020年5月に85歳を迎える。“不死鳥”は自らの死をどう捉えているのか。 「死というものはないんです。ただ肉体がなくなるだけ。死はこっち(現世)では悲しいですよね。でも、あの世から見れば、『ああ、よく勉強して帰ってきたね。おめでとう』となっていて、それが繰り返される。仕掛けとしては、私は生命をそういうふうに思っていますけどね。やり残していること? もう十分です(笑)」 最後に聞いた。「また生まれ変わるとしたら、再び美輪明宏になりたいですか?」 「そうですね。この世だけでもいろんなことをやってきましたからね。そんな人、他にいませんからね」 インタビューの終わりに、腰掛けていた「RED Chair」に揮毫(きごう)してもらった。選んだ言葉は「光明」 美輪明宏(みわ・あきひろ) 1935年、長崎県生まれ。16歳でプロ歌手としてデビュー。1957年、「メケ・メケ」が大ヒット。シンガー・ソングライターとして「ヨイトマケの唄」などを手掛ける一方で、俳優としても活躍。1967年、寺山修司主宰天井桟敷旗揚げ公演『青森県のせむし男』、『毛皮のマリー』に主演、1968年、『黒蜥蜴』に主演。『毛皮のマリー』『黒蜥蜴』『愛の讃歌』などは繰り返し再演される。映画『もののけ姫』『ハウルの動く城』では声優を務め、トーク番組『オーラの泉』などでも活躍。2007年から公式携帯サイト「麗人だより」をスタート。『紫の履歴書』『人生ノート』など著書多数。最新刊は『ぴんぽんぱん ふたり話』(瀬戸内寂聴さんとの共著、集英社文庫)。 内田正樹(うちだ・まさき) 1971年生まれ。東京都出身。編集者、ライター。雑誌『SWITCH』編集長を経て、2011年からフリーランス。国内外のアーティストへのインタビューや、ファッションページのディレクション、コラム執筆などに携わる。 【RED Chair】 ひとりの人生を紐解く『RED Chair』。先駆者、挑戦者、変革者など、新しい価値を創造してきた人たちの生き方に迫ります。