「とんねるずは死にました」―戦力外通告された石橋貴明58歳、「新しい遊び場」で生き返るまで
「『やっぱり俺死んでいたんだ』って。脳も全然動いていなかったんでしょうね」。石橋貴明、58歳。『とんねるずのみなさんのおかげでした』の終了以来、燃え尽き症候群になっていたという。6月、YouTubeチャンネルを開設し、息を吹き返した。「絶対負けない。27個目のアウトを取られるまで、野球はゲームセットじゃない」。お笑いに導かれた若き日、テレビと視聴率、「売れる」とは何か、規格外の笑い。40年の情熱を語り、若者世代に活を入れる。(取材・文:塚原沙耶/撮影:殿村誠士/Yahoo!ニュース オリジナル RED Chair編集部) (※2020年9月の再配信です)
「元とんねるずですかね?」
「『みなさん』が終わって、うーん……。ほぼ、とんねるずは死にましたよね。それだけ命をかけてやっていましたし、チャンスをもらった番組だったし、いろんな思いがすべて入っていたので。……なんか、あれからおかしかったです。やっと、YouTubeでまたちょっと息が入ったというか、呼吸し始めた感じで、死んでいましたね」 肩書を尋ねると、「元とんねるずですかね?」。『とんねるずのみなさんのおかげでした』が終了したのは、2018年3月。30年にわたる「みなさん」をまとめたDVD BOXは、終わったことを認めたくないから「たぶんこの先も開けない」という。 「子どもたち、孫たちが棺桶に入れるんじゃないですか? 燃えるのかなあ、DVDって。火葬場の人が嫌がるかな(笑)。約30年間、毎週木金、『みなさん』の収録でフジテレビに行ってたんですよ。行かなくなって、定年退職したサラリーマンの方みたいに、燃え尽き症候群で。戦力外通告されて、テレビ大好きだったのにできなくなっちゃって、つまんねーなーって」
今年6月、YouTubeチャンネル「貴ちゃんねるず」が始動する。「みなさん」で苦楽を共にしたディレクター、マッコイ斉藤から、「タカさん暇でしょ?」と誘われた。 「マッコイに『YouTubeってどういうことをやるんだ?』って聞いたら、『僕に任せてくれれば大丈夫ですよ。石橋貴明を面白くするのが僕ですから』って」 「目指せ1万人」でスタートしたが、3カ月も経たないうちにチャンネル登録者数は125万人を突破。元プロ野球選手の清原和博が出演した回は、600万回以上再生されている。毎回、視聴者からの熱心なコメントが並ぶ。 「テレビと違って面白いなと思ったのはコメントですよね。キヨさんの回なんて1万とかきてるから、読んでいると夜中の3時4時になっちゃって。『こんなふうに見てくれてるんだ』とか『こんなふうにキヨさんにあったかいメッセージ書いてくれてんだ』ってウルッときちゃう時がある」