「世間の声は気にしない」―山田孝之は「愛」のために生きていく
山田孝之、36歳。かつては「早く死なねえかな」と心が塞いだ時期もあったが、今、ネガティブな気持ちになることはほぼないという。俳優、映画製作、動画配信……。仲間と絶えず新しいことに取り組むなかで、もっとも大事にしているものは「愛」だ。(取材・文:塚原沙耶/撮影:殿村誠士/Yahoo!ニュース オリジナル RED Chair編集部) (※2020年7月の再配信です)
生きることがすごく楽になった
コロナ禍の影響で、山田が主演する『全裸監督』シリーズの撮影はいったん中断になったが、現在は再開している。休止中も役の「体づくり」は続いた。食べて鍛えて、脂肪と筋肉をつける。撮影が再開してしばらく経ったこの日、山田の表情は穏やかで、肩の力が抜けている様子だった。 「再開して一発目の時、めっちゃ緊張しました。どんなだったっけ、と思って。まあでも、大丈夫だと思います」 撮影がストップした期間、何を考えて過ごしたかを聞くと、言葉を選びながらこう答えた。 「いろいろなことに気付かされて、生きることがすごく楽になりました。不要なものが見えてきたり、可能性が見えてきたり、考えがシンプルになった。『いろいろ』を噛み砕くと……危ない、ちょっと噛み砕きすぎて、言っちゃいけないことを言いそうに……。18歳の時から『明日死ぬかもしれない』と思って生きているんです。ネガティブな意味ではなく。本当にそうだなと思うようになりました」
「いろいろ」の詳細は明かさないが、心境に変化が訪れたようだ。 「(エンターテインメント業界は)既存のやり方でできなくなって、何か別の方法を考えなきゃいけないという状況で、考えるきっかけにはなっていますよね。なんとかやって生きていくしかないですから。俳優の活動も、5年後、10年後を考えたら、どうなっているかは分からない」 職業を尋ねれば「俳優、とか」と答える。映画プロデューサー、会社経営、本の執筆など、さまざまに活動してきた。今年に入ってからは、映画『ゾッキ』を製作。初めて長編映画の監督を務めた。最近はYouTubeチャンネル「NO GOOD TV」で動画を配信するほか、複数の新規企画も水面下で進行しているという。 「やったことのないものをやる時は、『こういう壁が出てくるのか』とか、気付きがあります。ワクワクしますよね。どうやったらそれを乗り越えられるのかと」