なぜ“大阪都構想”は否決されたのか 都市制度改革の機運は生きている
「廃県置州」の議論を
基本的に大都市経営は広域権限をどのように一本化し、身近な基礎自治をどう充実させるか、つまり「集権化」と「分権化」をどう両立させるかが課題だ。その制度構想が問われている。 大阪改革は頓挫したが、これで終わる訳ではない。横浜市(375万人)、名古屋市(232万人)が動き出すと大阪も再び議論が沸き起こる可能性がある。さらに150万人規模の札幌、福岡、川崎、京都、神戸市という政令市も濃淡はあるが道府県行政との2重行政、2元政治の問題を内包している。 日本は大都市が国の骨格をなす「都市国家」だ。しっかりした「大都市制度」はどのようなものか、本格的な議論が求められる。この点、改革を避ける政治の怠慢は許されない。 廃藩置県から150年。人口が減少するこの国にいま求められているのは、明治以来の統治機構を賢くたたむことだ。今回の住民投票に至る改革過程は日本の大都市、地方都市に大きな影響を与えた。これを機に、基礎自治体の権限を強化するとともに、都道府県に代わって広域政策を担う州を創設する「廃県置州」の議論を始めたらどうだろうか。 筆者は、現在の47都道府県を10州+2都市州(北海道州、九州州など10の州と、東京・大阪の2都市州)に再編することを提言する。こうした“新たな日本のかたち”を生み出すべく、政府は各界から専門家を集め第3次臨時行政調査会を設置したらどうだろうか。これが地方生まれで横浜市議など大都市を経験し、首相になった菅義偉内閣の歴史的な役割ではないか。そこまでわが国は追い詰められ、大きな岐路に立たされているのである。