「大阪都構想」そもそも何? 住民投票まで1か月
人口275万人の大阪市で「大阪都構想」をめぐる住民投票が10月12日告示、11月1日投開票の予定で行われます。住民投票は2015年5月に続き2回目。前回は僅差で「反対」が「賛成」を上回りました。今回はどのような結果になるのでしょうか。 【動画】「大阪都構想」住民投票に向けた説明会を開催 ところで、なぜいま都構想の導入が議論されているのでしょう。そもそも「大阪都構想」とは何を目的としたもので、実現すると市民生活にどんな変化が起きるのでしょうか。改めて、行政学者の佐々木信夫・中央大名誉教授に解説いただきました。 ***
ここ10年、大阪は市営地下鉄の民営化や府立大、市立大の統合や二重行政の打破など府市一体となって様々な統治機構改革が行われている。コロナ禍の対応でも府市一体の対応が光った。「都構想」もその流れの中にある。
何のための住民投票か?
大阪都構想とは何か。(1)大阪市を廃止し(2)広域行政は大阪府に統合し(3)基礎行政は新たに創設する4つの特別区が担う――というのが柱だ。特別区では公選で区長、区議会が選出され、住民自治を充実させる仕組みとなる。 住民投票は大都市地域特別区設置法という法律に基づき、大阪府、大阪市両議会で決めた「特別区設置協定書」について住民一人一人にその可否を問うものだ。公職選挙法が準用され、選挙と同じように有権者の投票が行われる。有権者225万人の投票総数の過半数の賛成が得られれば可決となり、移行準備期間を経て2025年1月1日に大阪市が廃止され、4つの特別区(淀川、北、中央、天王寺)が誕生する。 明治時代“東洋のマンチェスター”とも称された大阪市は、わが国最大の商都として1889年(明治22年)誕生した。都構想が実現すれば、東京、横浜、名古屋、京都、神戸と並ぶ日本を代表する6大都市として刻んできた歴史に終止符が打たれる。とはいえ、これは行政の仕組み上の話であって、決して「大都市大阪」がなくなる訳ではない。 大阪市は北の札幌から南の熊本に至り点在する20政令指定都市の1つ。それが廃止され、大阪府が大阪都になると、現在の1都1道2府43県が約80年ぶりに2都1道1府43県に塗り替わることなる。東京は1943年(昭和18年)戦時体制下で東京府と東京市が合体し東京都になり、戦後、23の特別区が置かれ現在に至っている。 ちなみに、大阪市民による住民投票で「都構想」が可決されても、法律上、大阪府が自動的に「大阪都」に名称変更される訳ではない。専門家の法解釈だと大阪府民880万人による名称変更の可否を問う住民投票が数年内に必要という。 なぜ、こんな面倒なことまでして大阪市が4特別区になり、大阪府が大阪都になろうとするのか。