「現時点での金融引き締めは適切でない」日銀・黒田総裁会見6月17日(全文2完)
日銀の黒田東彦総裁は金融政策決定会合後の17日午後、記者会見を行った。 ※中継機材不調のため、記者会見の冒頭部を除いて書き起こしを行っております。ご了承ください。 ◇ ◇
国債の流動性を懸念をする声があるが
ブルームバーグ:ブルームバーグニュースの藤岡です。先ほど来、今後も10年物金利というのは、指し値など、いろんなオペ、買い入れを通じて抑えていくということですが、そこにきて、今、足元で、マーケットの中で、国債の流動性について懸念をする声があるんですけれども、その点について、総裁はどのように考えてらっしゃるのか、対応する考えがあるのかというのが、まず1つと、あと、先ほど来、限界というのは生じていないということですけども、今後、主要な中央銀行が引き締め方向の動きというのを見せて、日銀は違う方向をはっきり見せたわけですけども、今後も限界は来ないと総裁は、はっきり言っていただけるのかどうか、お願いいたします。 黒田:これは、やや哲学的な議論になってしまうと思いますけども、われわれの長短金利操作付き量的・質的金融緩和というのは先ほど来、申し上げているような短期の政策金利と10年物国債の金利についてターゲットをつくって、それを維持することによって適切なイールドカーブを形成すると。そのためには国債の買い入れ額を必要なだけ買い入れることによって、それを実現するっていうことですので、理論的には可能であり、海外の金利が上がっても上昇圧力に対して国債の買い入れ額を増額するとか、あるいは指し値オペをするとか、いろんな形で、基本的にイールドカーブ・コントロールを維持できるというふうに考えております。 それから、最近のそういった連続指し値オペその他によって、イールドカーブをしっかりとした形で安定させようとしておるわけですけども、そうした中で、他方で先物市場がかなり大きく動いて、この現物と先物の値動きが乖離してる、あるいは流動性が低下してるんじゃないかということもいわれておるわけですので、そういったことに関しては適切な対応も取っていくと。例えば、従来から香港の買い入れに伴って特定の銘柄の流動性が低下するというようなことがあった場合には、国債補完供給制度などを通じて対応してきたところでありまして、いずれにせよ、国債の流動性については十分注視して、適切な対応を取っていくということに尽きると思います。