「現時点での金融引き締めは適切でない」日銀・黒田総裁会見6月17日(全文2完)
CBDCの検討状況を聞きたい
記者2:すいません。ありがとうございます。CBDCの件でお伺いしたいんですけども、すいません、先月、Fedのブレイナード副議長も、CBDCに関しては米国がリード役を果たすことが重要だっていうようなことを言われていたり、一方、スタッフも米国でもしCBDCの導入を決めるようなことがあった場合には5年ぐらい掛かると。総裁は先日、国会のほうで、2026年までには導入するかどうかを決めるような方向性を言われてたかと思うんですけども、現状での検討状況をできればお伺いしたいんですけども、よろしくお願いいたします。 黒田:ご案内のとおり、日本銀行は昨年4月に実証実験を開始して、本年3月までにCBDCの基本機能に関する検証を終了いたしました。4月からは実験の第2段階として、CBDCにさまざまな周辺機能を付加して、その実現可能性、あるいは課題を検証しております。また、CBDCの活用方法、中央銀行と民間事業者の協調、役割分担の在り方など、制度設計面の検討にも取り組んでおります。 この間、海外の多くの中央銀行も、CBDCの検討が進んでいるようでありまして、欧州では来年9月にデジタルユーロに関する2年の調査フェーズを終えて、本番システムの開発を意味する実現フェーズへ移行するかどうかを判断すると言っておりまして、実現フェーズにさらに5年ぐらい掛かるということも言っておられますけれども、わが国でCBDCを導入するかどうかっていうのは、こうした内外の情勢を十分踏まえて、今後、国民的な議論の中で決まっていくものというふうに考えておりまして、日本銀行としてはその前提になるものとして、CBDCに関する技術面、および制度面の検討をしっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。
2026年度に緩和政策を終える環境が整うと見ているのか
ニッキン:ニッキンの【・・・※聞き取り困難・・・】と申します。1点、日銀、総裁のご認識の確認なんですけれども、前回の展望レポートの政策委員見通しで、新たにコアコア物価の予測を出されまして、その中央値を見ますと22年度が0.9で、23年度が1.2で、24年度が1.5と、0.3ポイントずつ、いわゆる等差で高まっているんですけれども、で、日銀の先々の物価見通しですとかを踏まえて、仮にではあるんですけれども、その上昇ラインを延ばすと、2026年度に物価安定目標の2%を超えることになるんですが、4月時点ではあるんですけれども、政策委員の中心的な見方として、今の緩和政策の出口について、足元では距離を置きつつも、26年度には手を掛ける環境が整うとみていらっしゃるのか、もしくはそもそも今申し上げた予測値の捉え方っていうのは間違っているのか、その点をちょっと伺えればと思います。 黒田:その予測値っていうかですね、生鮮食品とエネルギーを除いたところで見た数字というのを示しておりまして、それはご指摘のとおりであります。次回の展望レポートでまたさらにその後の状況も踏まえて、新たな委員の見通しが出てくると思いますけども、ご指摘のような、そういうふうに一定のトレンドでいくというふうになるのかどうかっていうのは分かりませんし、あくまでも委員の見通しの中央値は2022、2023、2024年度までを示しているだけですので、それ以上の、その先のことについてまで何か政策委員の合意があるとか、あるいは見通しが提示されているっていうことはないというふうに思います。いずれにせよ、そういったことを毎回の政策委員会で議論して、適切な金融政策を運営して安定的、持続的な形で2%の物価安定目標を実現することを目指すということに尽きると思います。