日銀・黒田総裁会見4月28日(全文1)量的・質的金融緩和を継続
日銀の黒田東彦総裁は金融政策決定会合後の28日午後、記者会見を行った。 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは、「日銀・黒田総裁、金融政策決定会合後に定例会見(2022年4月28日)」に対応しております。 【動画】日銀・黒田総裁、金融政策決定会合後に定例会見(2022年4月28日) ◇ ◇
金融市場調節方針は現状維持
共同通信:幹事の共同通信の【モリナガ 00:03:28】と申します。総裁、今日よろしくお願いいたします。本日、幹事のほうから3問質問があります。まず1つずつお伺いいたします。1つ目、本日の決定会合の決定事項と展望レポートの内容についてご説明お願いいたします。 黒田:本日の決定会合では長短金利操作、いわゆるイールドカーブ・コントロールの下での金融市場調節方針について現状維持とすることを賛成多数で決定しました。すなわち短期金利について日本銀行当座預金のうち、政策金利残高にマイナス0.1%のマイナス金利を適用するとともに、長期金利については10年物国債金利が0%程度で推移するよう、上限を設けず、必要な額の長期国債の買い入れを行います。 併せて、金利変動幅の上限をしっかり画する目的で、従来より行っている連続指し値オペについて、その運用を明確にしました。すなわち10年物国債金利について0.25%の利回りでの指し値オペを明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日、実施することとしました。長期国債以外の資産の買い入れ方針に関しては、現状維持とすることを全員一致で決定しました。 本日は展望レポートを決定、公表しましたので、これに沿って、経済・物価の現状と先行きについての見方を説明いたします。わが国の景気の現状については新型コロナウイルス感染症や資源価格上昇の影響などから、一部に弱めの動きも見られるが、基調としては持ち直していると判断しています。
わが国経済はペース鈍化させつつ、潜在成長率を上回る成長続ける
やや詳しく申し上げますと、海外経済は国・地域ごとにばらつきを伴いつつ、総じて見れば回復しています。そうした下で輸出や鉱工業生産は供給制約の影響を残しつつも、基調としては増加を続けています。企業収益は全体として改善していますが、業況感は感染症や資源価格上昇の影響などから、このところ改善が一服しています。設備投資は一部業種に弱さが見られるものの持ち直しています。雇用・所得環境は一部で改善の動きも見られますが、全体としてはなお弱めとなっています。個人消費は感染症によるサービス消費を中心とした下押し圧力が得られる下で、再び持ち直しつつあります。金融環境は企業の資金繰りの一部に厳しさが残っていますが、全体として緩和した状態にあります。 先行きについてはウクライナ情勢等を受けた資源価格上昇による下押し圧力を受けるものの、感染症や供給制約の影響が和らぐ下で、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて回復していくとみています。その後は資源高のマイナスの影響が減衰し、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まっていく中で、わが国経済はペースを鈍化させつつも、潜在成長率を上回る成長を続けると考えています。 次に物価の現状ですが、生鮮食品を除いた消費者物価の前年比は携帯電話通信料の引き下げの影響が見られるものの、エネルギー価格などの上昇を反映して、0%台後半となっています。また、予想物価上昇率は短期を中心に上昇しています。先行きについては、生鮮食品を除いた消費者物価の前年比は携帯電話通信料下落の影響が剥落する2022年度には、エネルギー価格の大幅な上昇の影響により、いったん2%程度まで上昇率を高めますが、その後はエネルギー価格の押し上げ寄与の減衰に伴い、プラス幅を縮小していくと予想しています。この間、変動の大きいエネルギーも除いた消費者物価の前年比はマクロ的な需給ギャップが改善し、中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まっていく下で、食料品を中心とした原材料コスト上昇の価格転嫁の動きもあって、プラス幅を緩やかに拡大していくとみています。 2023年度までの見通しを前回の見通しと比べますと、成長率については2021年度と2022年度が感染症再拡大や資源価格の上昇、海外経済の減速の影響などから下振れていますが、2023年度はその反動もあって上振れています。物価についてはエネルギー価格上昇の影響などから、2022年度は大幅に上振れています。