「現時点での金融引き締めは適切でない」日銀・黒田総裁会見6月17日(全文2完)
プロパーと総裁の間で対立があるのか
なぜ今回載ってないのかということと同時に、幅を広げてきて、さらに点検の以降、日銀の中で事務方の方々は、これ、もっと広げるとか、出口に向けてもっと政策を拡大していこうというような意見をずいぶん具申されていたようですけれども、それに対して総裁は常に蹴飛ばされていたという事実があったと思うんですね。それについて、極端に言うと、日銀の中にプロパーの方と総裁の間で対立があると言ってもいいような内容ではないかと思うんですけれども、そういう事実についてと、総裁のご見解を賜りたいと思います。 黒田:従来から申し上げているように、プラス0.25%のレンジの中で、長期国債、10年物国債金利が変動するということを認めるということでありまして、それを超えるような場合には指し値オペその他各種の手段で、これをその範囲内に入るようにしてきております。従いまして、ご指摘のようなことは当たらないと思います。 また、次のご質問で、日銀の中でそういう意見があって、割れてるのではないかというようなことを言われましたが、そういうことはまったくありません。
民意と逆の政策になっているのでは
朝日新聞:朝日新聞の原です。よろしくお願いします。総裁がおっしゃるとおり、今のコストプッシュインフレに金融緩和が有効でないというご説明はよく分かるんですけれども、それでも今、世論はこの物価上昇に対して非常に警戒し、反発しているわけですが、その中で物価を上げるための金融政策を引き続き続けるということは、民意と逆の政策をやっているということではないんでしょうか。せめて、せめてこの金融緩和、超金融緩和をもっとニュートラルな政策に正常化するという選択肢はないんでしょうか。 今のままですと、異次元緩和を10年続けて総裁は交代されることになるわけですけれども、このまま、異次元緩和を続けたまま総裁が日銀を去るというのは、無責任ということになりませんでしょうか。 黒田:そういうふうにまったく考えておりません。今の物価上昇は、基本的に国際商品市況、エネルギー、食料品の国際価格が上昇したことを受けて2%程度上昇しているわけですので、これはむしろ景気に対する下押し圧力になっているわけです。従って、そういうときに金利を上げると、あるいは金融を引き締めるっていうと、さらに景気に下押し圧力を加えるっていうことになってしまいます。で、それは何回も申し上げますけども、日本経済がコロナ禍から回復しつつあるというものを否定してしまうと、経済がさらに悪くなってしまうということにほかなりませんので、そういった金融政策は適当でないというふうに考えております。