「転売ヤー」への拒否感はなぜ生まれる? アレルギー反応との指摘も #くらしと経済
奥窪さんが買い付けに同行して一番印象に残ったのは、中国人転売ヤーを眺める日本人の視線の冷たさ。ホスピタリティーが自慢のディズニーランドのキャストたちもかなり冷たかった、と振り返る。 「一度『この荷物見てて』って言われて、ちょっと外で待ってたんですよ。僕も仲間に見えますよね。『うわ~、あれが転売ヤーだよ』という感じで、写真を撮られたりして風当たりは強かった。中国人転売ヤーたちも、日本人から嫌われてるっていうのを自覚はしていると思うんですけど、罪悪感はないと思います。法を犯しているわけではないし、何が迷惑なの、と。なんなら、自分の編み出した転売の手法を自慢げに教えてくれたりもしますね」 モノを安く仕入れて、高く売る。これはビジネスの基本だ。 よく転売は「せどり」と比較されるが、せどりは古本や中古品を扱うことが多く、そこに一定の目利きの力が働いているとされる。一方転売は、小売店から新品を仕入れて販売する。どちらも犯罪ではないが、転売にいいイメージを持たない人は多い。 「転売ヤーを目の敵にしている人って、日本では多いと思うんですよ。いかにもムカつくあだ名ですしね(笑)。やっぱり不労所得感があるからでしょう。本当のファンには届かなくなって、日本以外や、お金のある人にだけ届くのですから、不満を抱くのは当然です。でも例えば、日本人のバイヤーが海外へ行って、二束三文でコンテナ1個分の洋服をバンと買ってきて、10倍以上で売りさばく、これと別に変わらないんですよ。でも中国人転売ヤーは、目に見えるところで並んで買い占める。その絵をマスコミが伝える。円安もあって、さらに憎悪が高まっていくという図式です」
影響しているのは、日本人の「お金に対する考え方」かも
転売ヤーをネット検索すると、「嫌い」「~のせいで」「うざい」など、ネガティブな言葉があふれている。違法ではない場合がほとんどなのに、なぜ日本人はこれほどまでに転売ヤーが苦手なのか。そこには日本人の「お金に対する考え方」が大きく影響している、と社会心理学者の碓井真史さんは指摘する。