職場で「管理職」への昇進を打診された! でも所得が「900万円」を超えると、所得税率が上がって「手取り」が減ってしまう? 誤解の多いポイントもあわせて解説
必死に働いて評価され、管理職への昇進を打診されることは多くの人にとってうれしい出来事です。しかし、昇進後の所得が900万円を超える場合、「所得税率が上がるから手取りが減るのでは?」と不安を抱く人も少なくありません。 本記事では、管理職の年収の違いや、税率が上がる仕組み、さらに管理職のやりがいや大変さについて解説します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
一般職と管理職の年収の違い
まず、一般職と管理職の年収では基本的に管理職のほうが高い傾向にあります。 厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、10人以上の企業における、基本給に賞与などの特別給与を加えた年収総額の平均は次のとおりです。 ●非役職:429万5700円 ●職長級:540万6100円 ●係長級:578万5700円 ●課長級:780万2900円 ●部長級:927万6500円 このように、一般職から管理職となった後では、年収のアップが期待できます。
累進課税制度の仕組みと誤解
所得税は所得が高くなるほど高い税率が適用される「累進課税制度」が採用されています。具体的には、2024年現在の所得税率は図表1の通りです。 図表1
国税庁 No.2260 所得税の税率を基に作成 このように、所得が900万円を超えると、課税所得に対する税率は23%から33%に上がります。この「税率が上がる」という表現が、管理職への昇進を不安視する理由になっているのです。 この誤解は非常によく見られますが、実際には間違っています。なぜなら、所得税率は「超えた部分だけ」に適用されるためです。 例えば、年収が899万円の人が950万円に増えたとします。この場合、950万円全てに対して33%の税率が適用されるのではなく、900万円を超えた50万円に対してだけ33%の税率が適用されます。 そのため、所得が900万円を超えたとしても、超える前よりも所得税によって手取りが減ることはありません。むしろ、総収入が増えるため、最終的な手取り額も増えるのです。