「転売ヤー」への拒否感はなぜ生まれる? アレルギー反応との指摘も #くらしと経済
「工芸品の転売は最近よく聞きますね。盆栽も注目されています。こういう、コアなファンがずっと狙っている、趣味性の高い商材はターゲットとして長く続くと思いますね。かと思うと、先週まで熱かった商材に、いきなりピタッと誰も見向きもしなくなるようなこともあって、変化は激しいです。最近主流なのは、キャラクターグッズのように単価が安くて、利ざやも薄いもの。さっきも新宿で『シナモロール』の限定品を中国人転売ヤーが路上で数えて、『買い子』とお金の受け渡しをやっていました」 奥窪さんは転売ヤーたちの日頃の動きについて「X」やLINEのオープンチャットなどでチェック。転売情報や日雇い掲示板を見て、現地に赴くこともあるという。 「転売ヤーたちも、SNSをウォッチしてアンテナを張っています。日本でこういうものが発売されるらしいという情報には、つねに目を光らせていますよね」
転売ヤーに抱く「不労所得感」
ここ最近だけでも、東京国立博物館におけるハローキティグッズの買い占めや、原宿でのトラブルなど、中国人転売ヤーのニュースをたびたび目にするが、実態はどんな人々なのか。奥窪さんは、実際にディズニーランドでの転売ヤー集団に同行取材している。ひとりにつきチケットを複数枚用意し、限定グッズを買い回る体力勝負のワンデー仕入れツアー。率いていたのは、30代の中国人女性だったそう。 「中国の人って、雇われるよりも自分のビジネスがしたいという意向が強いんですよね。彼女もそうで、はじめはヤミ民泊みたいなことをやってたんですけど、コロナでダメになったから転売ヤーになったと。今はまた並行して民泊をやっています。暮らしぶりは、日本の会社員よりはいいと思いますよ。ファッションには無頓着ですけど、最新のiPhone Pro Max を持ってたり。一緒に買い付けに回った“見習い転売ヤー”たちも、中国からの留学生。これは僕の肌感覚ですけど、留学生は3人に1人くらいは転売に関わった経験があるんじゃないかな。ひと昔前までは、コンビニでアルバイトしている中国人をよく見かけましたけど、今全然いないじゃないですか。単純労働するくらいなら、転売をやったほうがよっぽどもうかる。スマホでライブしながら買い付けるので、売り先も決まっていて、損することもほとんどないですからね」