ミャンマーで拘束 ジャーナリストの北角さんが会見(全文1)Tシャツ1枚のまま連行された
リスクはあると言わざるを得ない
司会:(英語) 北角:そうですね。私の知る限り、現在4人の日本のジャーナリストがミャンマーにいると思います。そのほかの国の記者を合わせても、おそらく10人いくかいかないかという状態だと思います。なので私もできるだけ長くミャンマーにいたいと思ったんですけれども、今、必死で取材活動をしている外国人の記者も同じ思いだと思います。 危険については、これはどうしてもあると言わざるを得ないと思います。ただ、私のケースは先ほどお伝えしたとおり脅しとしての象徴的な面があると思いますので、これでどんどんと外国人記者が捕まっていくというふうには思っていません。ただ、私の訴訟でも分かるとおり、非常にずさんな、不当な罪状で拘束してきますので、リスクはあると言わざるを得ないと思います。 司会:(英語) 北角:私は独房で、VIPの人たちがいるエリアで拘束されていました。そこには例えば政府の高官、有名な映画俳優、著名なジャーナリスト、メディアの幹部といった人が一緒に拘束されていました。私自身は、拷問は受けていません。ただ取り調べの際に机をぼんと強くたたかれて、外国人がこの国で好き勝手なことができると思うな、おまえのことを刑務所に送ることができるんだぞというような脅しの文句はありました。
インスタントコーヒーと鳥の羽でメモ
食事は3回出ていて、私はミャンマー料理が好きでしたのでおいしく食べられていました。基本はお米と、あと野菜のスープですとか野菜のカレー、カボチャのカレーですとか、そういったものが出ます。苦しかったのは暑さでした。ミャンマーは常夏の国ですけれども、その中でも4月、5月というのは一番暑い時季で、最高気温が40度を超える日も珍しくありません。その中で、レンガ造りの部屋なんですけれども、レンガが熱を持って、夜になっても非常に暑く苦しんだ覚えがあります。 あと、ペンと紙を持つことが許されていなかったために、私としてはどうにかしてこの状況を記憶しようと思いまして、何回も頭の中で考えたりですとか、あと、そこにあるものを使ってなんとかペンの代わりになるものを使えないかと、代わりに使えるものがないかというのを探していて、で、お茶の殻を、スプーンの柄の部分で書いてみたりとか、泥を使ってみたりとか、いろいろしたんですけれども、最終的にはブラックのインスタントコーヒーを非常に濃くしたものを鳥の羽で書くということが、一番文字が進むということが、文字が書けるということが分かったので、それで紙の切れ端にメモを取っていました。 先ほど私自身は拷問を受けていないということを申し上げたんですけれども、私が会った政治犯の多くの人はその前に軍の施設で非常に凄惨な拷問を受けていました。よく聞いた話では、まず目隠しをされる、後ろ手に手錠を掛けられる、コンクリートの上にひざまずかされる、その姿勢で尋問が行われるんですけれども、否定的なことを言うと棒で殴られる。しかもそれが非常に長い時間、2日間ぶっ通しですとか3日間ぶっ通しですとか、で、夜も寝ることができず、取調官のほうは交代でくるくる人が代わるんですけれども、本人は寝ることも休むこともできずに尋問が続けられたと聞いています。トイレにも行かせてもらえずに、失禁をするとまたそれを理由に殴られるというような話も聞きました。 酒を飲んで拷問されていたというような話も聞きましたし、また、ある人はナイフか銃かどちらかを選べと言われ、その人は銃を選んだところ、頭に銃を突き付けられたまま尋問されたというふうに話しています。話を聞くだに信じられない思いもあったんですけれども、私としては取調官が、殺す気はなかったのかもしれませんが、その本人が死んでも仕方がないというぐらいの気持ちで拷問していたんだと思います。 【書き起こし】ミャンマーで拘束 ジャーナリストの北角さんが会見 全文2に続く