【Q&A】ミャンマーの「クーデター」なぜ起きた?
ミャンマーで2021年2月1日に国軍がクーデターを起こしました。“ミャンマー民主化の象徴”と評されることもあるアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相らは拘束され、民主化を求めるデモ隊と国軍・警察など治安部隊との間で激しい衝突も起きており、700人以上(4月15日現在)が死亡したと報じられています。そもそも、なぜ国軍はクーデターを起こしたのでしょう? いまミャンマーで何が起きているのか、解説します。
Q:クーデターはいつ、どう起きたの?
クーデターが起きたのは2021年2月1日未明です。国軍が、国民民主連盟(NLD)を率い、“ミャンマー民主化の象徴”とも呼ばれたアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相、ウィン・ミン大統領ら民主政権の中心的幹部らを拘束。政権を奪取したことを宣言しました。 国軍側は翌2日、最高意思決定機関として「国家統治評議会」を設置。国軍トップのミン・アウン・フライン国軍総司令官は、自身が同議会の議長として全権掌握したと訴えるとともに、軍出身のミン・スエ副大統領を大統領代行に任命しました。 他にも中央銀行の総裁や選挙管理委員会の委員も任命していきました。
Q:クーデターが起きた背景は?
ミャンマーでは、かつての軍政下で起草された憲法の規定により、上下両院議席の4分の1が「軍人枠」として軍人に割り当てられてきました。国軍は、国防や国境担当のほか、内務を担当する閣僚の任命権を持ち、国政に影響力を維持しやすい仕組みになっていました。 スー・チー氏率いるNLDは、この環境下では法改正など思うような改革ができないと判断し、国軍の影響力を減じる憲法改正を目指しました。
Q:NLDは国民から支持されているの?
NLDは国軍の政治的関与を認めた憲法の改正を公約に掲げ、2020年11月の総選挙に臨みました。結果は、NLDが上院224議席のうち135議席、下院では440議席中255議席を獲得する圧勝でした。他方、最大野党で国軍系の連邦団結発展党(USDP)は上院で7議席、下院で26議席にとどまり、惨敗しました。