月面で自律走行&撮影に成功 直径8センチの小型ロボ「SORA-Q」は玩具技術の結晶
それでも、LEV-1とLEV-2(SORA-Q)という2台の探査ロボットが月面で通信に成功したのは世界初の快挙だ。JAXAの久保田さんは高く評価する。 「今回、2台が月面で連携できた意義はとても大きい。複数のロボットが協調して一つのミッションを達成したことで、宇宙探査の新しい扉を開いたと思います」 SORA-QはSLIMミッションの前に、民間企業ispace社の月面着陸機に搭載された実績もある(その月面着陸は失敗したため、SORA-Qの活動はなかった)。今後、様々なミッションに積極的に参加、活用することで、今回開発した技術を維持し、さらに発展させることも可能だ。 渡辺さんは現在、同志社大学で学生とともに小型ロボットの開発に取り組んでいる。 「おもちゃメーカーで本格的な宇宙探査に一部分でも関われたのは本当にいい経験でした。将来、新しいことに挑戦して成果を上げる学生が育ってくれれば嬉しいです」
---------- 荒舩良孝(あらふね・よしたか) 1973年、埼玉県生まれ。科学ライター/ジャーナリスト。科学の研究現場から科学と社会の関わりまで幅広く取材し、現代生活になくてはならない存在となった科学について、深く掘り下げて伝えている。おもな著書に『生き物がいるかもしれない星の図鑑』『重力波発見の物語』『宇宙と生命 最前線の「すごい!」話』など。