菅首相が「宣言」延長&「退陣」会見(全文1)接種加速化は間違いではなかった
コロナ対策専念のため総裁選不出馬を判断
今回の感染拡大では、感染者を10万人、死亡者を8000人減らすことができたとの試算も厚生労働省より示されています。1日100万回接種の目標を非現実的と疑問視する人もいましたが、ワクチン接種加速化の取り組みは間違いではなかった、そのように信じております。 新型コロナ対策が最優先、この秋の政治日程について問われるたびに私はそのように申し上げてきました。そしてそのとおりに全力を尽くし、足元の感染はようやく減少傾向にありますが、収束にはいまだ至っておりません。こうした中で、自民党総裁選挙が始まろうとしております。今も入院中の方や、自宅で不安な気持ちで過ごされてる方が大勢いらっしゃいます。新型コロナ対策と多くの公務を抱えながら、総裁選を戦うことはとてつもないエネルギーが必要です。12日の宣言の解除は難しい、そうした中で覚悟するにつれて、やはり新型コロナ対策に専念すべきと思い、総裁選挙には出馬しないと判断をいたしました。 今、総理大臣として私がやるべきことは、この危機を乗り越え、安心とにぎわいのある日常を取り戻す、その道筋をつけることであります。まずは医療体制をしっかりと確保し、治療薬とワクチンで重症化を防いでまいります。病床、ホテルに加え、全国で酸素ステーション、臨時の医療施設などを、いわゆる野戦病院を増設していきます。自宅で療養する方々には身近な開業医が健康観察や入院の判断を行い、必要な医療が受けられる体制をつくります。 中和抗体薬はすでに2万人以上に使用され、目覚ましい効果を上げております。東京都では、投与から2週間が経過した420例のうち、95%に効果が見られたと報告をされております。重症者をさらに減らすために全ての必要な患者に投与できる体制をつくっているところです。
社会経済活動正常化の道筋付ける
10月から11月の早い時期には希望者全員のワクチン接種が完了する予定です。それに向けて、宣言等の地域であってもワクチンの接種証明や検査の陰性証明を活用し、制限を緩和していきます。認証制度も使って、飲食、イベント、旅行などの社会経済活動の正常化の道筋を付けてまいります。そして、その間も影響を受けておられる方々の事業と雇用、暮らしを守るための支援に万全を期してまいります。 これまでの一連の対応を通じ、感染症対策に関するさまざまな問題が浮き彫りになりました。病床や医療関係者の確保に時間が掛かる、治療薬やワクチンの治験や承認が遅く、海外よりも遅れてしまう、緊急時でも厚労省をはじめ、省庁間の縦割りや、国と自治体の壁もあって柔軟な対応が難しい。こうした課題を整理してまいります。 国民にとって当たり前のことを実現したい、この1年、そうした思いで長年の課題に挑戦をしてきました。2050年のカーボンニュートラル、デジタル庁の設置により、新たな成長の原動力は力強いスタートを切りました。また、お約束をした携帯料金の引き下げはすぐに実行され、家計の負担が4300億円軽減されております。最低賃金は全国1000円を目指して取り組み、過去最高の上げ幅を実現し、930円となりました。 少子化対策も待ったなしの課題であります。不妊治療の負担で共働きの1人分の給料が消えてしまう、そうした声に応え、所得制限をなくし、不妊治療の保険適用にも道筋を付けました。男性の育児休業の取得促進や、40年ぶり35人学級も実現することができました。孤立・孤独を苦しむ方に手を差し伸べたいとの思いで担当大臣を据え、困難にある方々と行政の架け橋となるNPOへの支援も拡充しました。 避けては通れない課題にも果敢に挑戦しました。若者の負担を軽減し、全ての世代が安心できる社会保障制度への第一歩として、一定以上の所得がある高齢者に医療費の2割負担をしていただく改革の実現をしました。ALPS処理水についても、安全性の確保と風評対策を前提に海洋放出を判断しました。 憲法改正を進める第一歩となる国民投票法も成立させることができました。外交・安全保障の分野でも基軸である日米同盟のさらなる強化を図り、その上で「自由で開かれたインド太平洋」構想の具体化に向け、同志国、地域との連携と協力を深めることができました。