「1年はあまりにも短かかった」 菅首相、任期を振り返り
菅義偉(よしひで)首相は9日、記者会見し、新型コロナウイルス対策の「緊急事態宣言」について東京や大阪など19都道府県の期限を30日まで延長したことを発表した。 同時に、自らの首相としての任期を振り返り「全てをやり切るには1年はあまりにも短い時間だったが、子どもや若者、国民のみなさまが安心と希望を持てる未来のために道筋を示すことができたのではないか。このように思っている。内閣総理大臣として最後の日まで全身全霊を傾けて職務に全力で取り組んでいく」と述べた。
コロナ対策「現場の声聞き、議論尽くした」
会見冒頭で、菅首相は「私自身が内閣総理大臣に就任して1年が経つが、この間、まさに新型コロナとの闘いに明け暮れた日々だった。国民の命と暮らしを守る、この一心で走り続けてきた」と1年を振り返った。また「今日まで大変な尽力をいただいている医療・介護をはじめとする関係者、国民の一人ひとりの協力に心から感謝申し上げる。本当にありがとうございました」とも語った。 さらに「救急車の音を聞けば、必要な医療が届いているのか。飲食店や観光業の皆さんの生業や暮らしは大丈夫か。そうした不安を何度も感じてきた。その度に現場の声を聞き、専門家の意見をうかがい、国民にとって最善の道はどれなのか、担当閣僚とも議論を尽くし、決断をしてきた」とも述べた。
「感染症対策」「デジタル庁」……
菅首相は、1年を振り返り「これまでの一連の対応を通じ、感染症対策に関するさまざまな問題が浮き彫りになった。病床や医療関係者の確保に時間がかかる。治療薬やワクチンの治験や承認が遅く、海外よりも遅れてしまう。緊急時でも、厚労省を始め、省庁間の縦割りや、国と自治体の壁があって柔軟な対応が難しい。こうした課題を整理する」と踏み込んだ。 菅首相は「国民のために働く内閣」をうたって2020年9月に発足。 この日の会見でも菅首相は「国民にとって、当たり前のことを実現したい。この1年、そうした想いで長年の課題に挑戦してきた」と切り出すと、(1)2050年のカーボンニュートラル(2)デジタル庁の設置(3)携帯料金の引き下げ(4)不妊治療の保険適用に道筋(5)男性の育児休業の促進(6)国民投票法の成立(7)東京五輪・パラリンピックの開催――などこの自らの在任中に成し遂げたことをアピールした。