見ず知らずの女性を襲った男は遺体を風呂場に運び…犯人のデジカメに残っていたあまりにおぞましい行為
人間にとって一番怖いものはなにか。それは人間かもしれない。ノンフィクションライターの小野一光さんは、島根県浜田市で起きた女子大生殺害事件を追い続けた。遺体発見から7年後にわかった犯人の正体とは――。 【この記事の画像を見る】 ■「島根女子大生殺人事件」のまさかの結末 そのニュースを知ったとき、ああ、なんでこんな結末になってしまったのか、と愕然とした――。 遺体が発見されてから約7年後となる2016年12月のことだ。 〈直後に事故死の男が関与か〉として、この事件の犯人であるYという男がすでに死亡していたことが報じられたのである。 ここで出てくる犯人Yについては後述するが、「島根女子大生殺人事件」と称されるこの事件は、09年11月6日に広島県北広島町にある臥龍山(標高1223m)の8合目崖下において、そこから直線距離で約25キロ離れた、島根県浜田市にある島根県立大学1年生・Mさん(当時19歳)の、切断された遺体が発見されたことから始まる。 同年10月26日の夜に、島根県浜田市のアルバイト先を出たのを最後に、行方がわからなくなったMさんについて、島根県警が公開捜査を行っており、広島県内で発見された遺体のDNA型鑑定によって、それがMさんだと判明したことから、直ちに島根県警と広島県警による合同捜査本部が設置された。 ■「傷つけられかたが尋常ではなかった」 なお、遺体は一度に全部が発見されたわけではなかった。キノコ狩りのために山に入った男性によって、6日にまず頭部が発見され、その後の警察による捜索により、7日に左大腿骨の一部が、8日に四肢の切断された胴体部分、9日に左足首が見つかる。そして19日に右足の親指の爪1点と爪とみられる破片4点、それに肉片と骨片が発見されている。 当時、広島県警担当記者は次のように語っていた。 「遺体の顔には激しく殴打された痕跡があり、首には紐状のもので絞められた痕が残っていました。その他、大腿骨部分は肉がそぎ落とされ、胴体部分は火に焙られたような痕があるなど、遺体の傷つけられかたが尋常ではなかった。そのため犯人については、猟奇性のある人物との見方がされています」 遺体が女子大生のMさんであると判明したことを受けて、彼女が行方不明となった島根県浜田市に入った私は、アルバイト先のショッピングセンター、住んでいた大学からさほど離れていない寮、遺体発見現場の臥龍山という3カ所を中心に回る。