プロボクシング界に起きている“内紛”は解決できるのか…JBCトップ永田理事長を直撃「そこまで悪いことをしましたか?」
――木村はJBCがオーナーライセンスを出している花形ジムの所属選手でありHPに謝罪&説明の声明も出しました。しかも元世界王者。ライセンスを更新していないからという建前論で、知らぬ存ぜぬはいかがなものでしょうか。 「今でも花形ジムの所属選手なの? それなら一度話を聞いてみる必要はある。でも、これからは中国で試合をやることは考えなくちゃいけない。私もドーム時代に中国との取り引きで大変な目にあったことがある。中国では、JBCのようなローカルコミッションも整備されておらず、ああいうことが平気で起きてしまう環境にある」 浦谷執行理事の辞職を求める要望を拒否されたJPBAは、JBCに支払う試合承認料とライセンス料を協会側で一時預かると通告。その後、この件については保留としたが、浦谷執行理事への辞職要求と 試合会場の立ち入り禁止、財政悪化によるJBCの存続リスクに備えて協会独自で試合を運営、管理するための準備委員会を立ち上げるに至っている。 ――JPBAは独自に試合の運営をするための準備委員会を立ち上げました。 「ほんとにできるんですか。第2コミッションを作るという動きがあることも耳に入っている。日本のコミッションは、帝拳の本田会長のお父さん(本田明)が尽力されて、東京ドーム(前後楽園)と共に構築してきた歴史と伝統があり、世界からも信頼を得ているもの。一国一コミッションで管轄できている国はそう多くはない。協会の利害関係とは距離をおき、中立公平の立場で、試合を管理し、選手の健康、安全を担保している。興行をする側が作った組織で、そういうことができますか?」 ――公平、中立性を担保する別組織でないとダメでしょうね。 「私たちはレフェリー、ジャッジの方々のスキルアップにも寄与し育成してきた。そういうレベルにあるレフェリーを揃えることができるんですか? 賛同できないというレフェリーの方もいると聞いています。自分たちの尺度と都合で運営管理するようなことにでもなれば問題が出てきますよ。たとえば、計量オーバーに関しては、厳格な規定を設けていますが、興行優先で“これくらいの体重ならやってもいい“なんて話になるかもしれない。私はそこを危惧している。ジム制度も含めて、今後ボクシング界の発展のためには、改革していかねばならない部分がたくさんある。私は、そこを進めていきたいと考えているが、ジムのオーナー、プロモーター側だけに任せることになれば、どうしても前に進めることが難しくなると思う」 ――両者が歩み寄らねば、そうなる可能性はゼロではないと思います。もしJPBAが独自で試合運営を行うことになれば、JBCは、その試合を承認しますか。 「しません。選手の健康、安全を担保できない試合は承認できません。もしそれで強行することになれば、もうボクシングの試合ではなく草試合ということになる」