プロボクシング界に起きている“内紛”は解決できるのか…JBCトップ永田理事長を直撃「そこまで悪いことをしましたか?」
プロボクシングの業界内のゴタゴタが解決していない。JBC(日本ボクシングコミッション)と、そのガバナンスに不信感を抱くJPBA(日本プロボクシング協会)との対立に着地点がみえず、一方、JPBA内でも幹部の新田渉世事務局長と林隆治事務局長補佐が年末に辞任を申し出るなどの亀裂が走っている。2022年のボクシング界は一枚岩となって、改革、発展の方向へ進むことができるのか。年始にJBCの永田有平理事長を直撃した。
井岡一翔のドーピング疑惑騒動の不手際が発端
昨年からプロボクシングの業界内で燻っているゴタゴタは、ボクシングファンの方でもわかりにくい状況にある。ひとつがJBCとJPBAの対立だ。 JBCは中立公平の立場で統括管理する“法の番人”。JPBAはJBCがライセンスを発行している全国のジムのオーナーたちが集まって作られている親睦団体。JBCの運営資金は、主に各協会が支払うライセンス料や試合の承認料だ。いわば両団体は、互いにバランスを保ちボクシング界を支え合っていたのが、今、両者に溝ができている。 JPBAがJBCと対立するきっかけになったのが、一昨年の大晦日のタイトル戦時に発生したWBO世界スーパーフライ級王者、井岡一翔(志成)のドーピング疑惑騒動。JBCの不手際によって起きた問題にJPBAの不信感が募った。不手際の詳細は省くが、井岡の所属ジムもJPBAを通じJBCに幹部の退陣や国際基準のドーピング検査体制の整備などを求める上申書を提出。その後JPBAはJBCのガバナンスを問題視し「責任者として采配しており一番責任を追及すべき人物」(新田事務局長)とし浦谷信彰執行理事の辞職をJBCに求めた。JBCからの“追放”を求めるのだから異例の要望である。 ――JBCとJPBAの対立を心配する声があります。 「我々も協会もボクシング界をいい方向に発展させたいという点では考えは一致している。ただ、我々の発信力が足りていないせいで、ファンの皆さんに理解してもらえず誤解を生んでいる部分はあると思う。私はJBCに来る前に東京ドームで、NBA、NFLなどの米メジャースポーツにも関わってきたが、NFLのコミッショナーとは、今でも交流があり、“大丈夫か?”とのご心配の連絡をいただいている」 ――JPBAの要求は受け入れますか? 「なぜ協会は、あそこまで浦谷の辞職にこだわるのか。そこまで浦谷が悪いことをしましたか?協会内からも浦谷に辞職させるほどの責任があるのか?という声が出ているとも聞く。協会の新田さん(事務局長)と林さん(事務局長補佐)が辞めたそうだし、そもそも協会内の意見が一致しているのですか。協会内で反対意見が出たので、承認料などの一時預かりもやめたんじゃないですか。浦谷の問題は我々の人事の問題。もっと言えば、井岡さんのドーピング検査をした時点での責任者は、安河内前事務局長であって浦谷ではない」