ボクシング界混乱!失態続きのJBCに協会が“最後通告”…不可解釈明にWBC王者矢吹陣営は「出るとこ出る」と法廷闘争も示唆
全国のジム経営者などで組織されている日本プロボクシング協会(JPBA、花形進会長)は16日、日本ボクシングコミッション(JBC、永田有平理事長)に対して支払っている試合の承認料と、選手、マネージャーらの年間ライセンス料について来年1月から支払いを停止、JPBAや各地区協会で一時的に預かることなどをJBCに文書で通告した。 JPBAは、先月18日付で、昨年大晦日に行われたWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチで井岡一翔(32、志成)に起きたドーピング疑惑問題の不手際に端を発したJBCのガバナンスを問題視し、実務の責任者である浦谷信影執行理事の辞職を求める要望書を提出していたが、29日に届いた回答は、「当協会の要望に対して、まったくの無回答というべき内容」だった。 浦谷理事の辞職については触れず、ドーピング疑惑問題が起きた井岡の世界戦当時に事務局長だった安河内剛氏の責任を追及する懲罰委員会を開く予定になっていることなど責任問題をすり替える事実上の“ゼロ回答“だったため、13日に大阪で臨時理事会を開き「これまでのさまざまな協力関係について厳しい姿勢での見直しをすることとなりました」との理由で今回の通告内容を決議した。 またJBCは試合ごとにプロモーターに対して派遣しているレフェリー、ジャッジなどの役員費並びに交通費を請求しているが、「明細がまったくわかりません。このままでは納得して支払うことができないので、今後は個々の明細を(請求書に)記載して下さい」と要望した。 JBCの運営は、JPBAから支払われる承認料と各種ライセンス料で成り立っているが、ここまで抱えていた裁判などで内部留保金も枯渇しており、来年1月から支払いがストップされると、試合を統括する“法の番人”としてのJBCの活動が立ち行かなくなる危険性がある。
最悪の場合JBCの統括、管理をボイコットも
一向に組織改革に乗り出さないJBCに対しての“最後通告”だ。 この通告を受けてJBCが、どう対応するのか。JBCは15日に安河内・前事務局長、現顧問の懲罰委員会を開いたが、永田理事長、浦谷執行理事が提出していた進退伺に対しては、すでに理事会で審議したが了承しなかった。今後“最後通告”を受けたJBCにJPBAからの要望を受け入れる姿勢が見られず、ガバナンスの健全化、信頼回復が期待できないとJPBAが判断した場合、さらなる強硬手段を取る方針も確認されている。 その場合は、試合におけるJBCの統括、管理をボイコット、JPBAが独自に各種の役員やレフェリーを集めて前日計量から健康管理、試合運営までをすべて行いJBCと“完全決裂”するという。 “法の番人”としての機能不全に陥っているJBCに対する不満の声は各所から出ており、15日には、真正ジムの山下正人会長、BMBジムの寺地永会長、緑ジムの松尾敏郎会長が会見を開き、9月に王者の寺地拳四朗(29、BMB)が10回TKOで矢吹正道(29、緑)に敗れたWBC世界ライトフライ級タイトルマッチで起きたバッティング問題を受けWBCから出た再戦指令の情報をJBCが隠蔽していた疑惑について怒りの声を上げた。 この会見に反応したJBCの釈明をデイリースポーツなど各社の報道で目にした王者・矢吹陣営の松尾会長は16日、さらに怒りを爆発させ、最悪の場合、JBCに損害賠償請求などの法的手段に打って出る構えがあることを示唆した。 「10月29日に成富事務局長に電話で“WBCからの再戦指令の話も出ているようですが、どうなっていますか。初防衛戦として選択試合を進めていいでしょうか”と聞いたところ、“WBCからの再戦指令は出ていません。どうぞ好きに進めて下さい”と言われた。言った言わないとなるのが怖かったので録音も取っている。それを成富事務局長が“私は言っていない”と主張するのであれば、出るところへ出る」 JBCの事務方のトップがハッキリと「再戦指令は出ていない。(選択試合を)好きに進めて下さい」と発言したため、松尾会長は、名古屋でV1戦を開催する準備を進め、地元のテレビ局との放映交渉を始めてスポンサー営業も開始した。だが、急転、11月10日に連絡が入り、「WBCから再戦指令が出ました。WBC総会で正式発表されます」と伝えられたという。いきなり梯子を外された形だ。 「すでに準備を進めた選択試合がないとなると相当の経済的損害を被る。10月19日にはWBCから再戦を指令する電子レターがJBCに届いていたというじゃないですか。であれば、“選択試合を進めるのは、ちょっと保留にしておいてもらえないか”と発言すべきでしょう。JBCの今後の対応次第では法的手段に打って出ることも考えている」 松尾会長の怒りは当然だろう。松尾会長は、この日、JBCに対して、WBCとのやりとりについてのメールの提出など具体的な経過を開示することを求めた。