プロボクシング界に起きている“内紛”は解決できるのか…JBCトップ永田理事長を直撃「そこまで悪いことをしましたか?」
――JPBAが浦谷氏の責任を追及するのは、井岡のドーピング問題での一番の不手際が、再検査に必要なB検体をあなたと浦谷氏の2人が警察にたれこみ押収される失態を犯したことにあるからですよ。加えて、ドーピング問題の責任の所在、ドーピング検査体制の整備、どちらも1年が経過して何ひとつ明らかになっていないことで、JBCのガバナンスに懸念を抱いています。 「昨年、第三者委員会を2つ立ち上げて、この問題に対処してきた。こういう問題の結論を出すのには時間がかかるもの。とはいえ、あなたがおっしゃる通りスピード感に欠けるのかもしれない。ドーピングに関して言えば、これまでのような簡易型ではなく、今は最初からちゃんとした検査機関に出している。しっかりとした検査体制作りを進めている。でも本来はドーピング検査はJBCではなく、協会、プロモーターがやるべきものなんですよ。世界的に見てもね」 ――米国ではアスレチックコミッションがドーピング検査をしていますよ。競技の公平性を担保すると同時に選手の健康、安全を管理する側面があります。ただボクシングは五輪のような競技ではなく、あくまでもプロ興行。経費の負担も考えながら検査体制を整備する必要がありますね。協会内からは、「永田理事長、成富事務局長がボクシングを知らなすぎる」との批判もあります。 「ボクシングを知らない方が論理的に判断できることがある。たとえば選手の健康、安全を守る医学的問題などでは、ボクシングを知っているがゆえの忖度が判断に加味されてしまうと危険だ」 ――さらに具体的な話を聞かせてください。まず昨年行われた寺地拳四朗(BMB)と矢吹正道(緑)のWBC世界ライトフライ級タイトルマッチの事後処理です。寺地サイドから出された「故意バッティングだったのではないか?」という質問状への回答がわかり辛く、またWBCからの再戦指令がJBCに届いていたのにもかかわらず隠蔽。防衛戦を進めたい王者、矢吹サイドの松尾会長を激怒させた問題もありました。 「回答書は弁護士が作った文書だから堅苦しくわかり辛かったのかもしれないが、拳四朗サイドからの質問状は、弁護士からのものだったので、こちらも弁護士を通して返すのが筋。しっかりと検証して結論は出した。ただ当事者とのコミュニケーションをもっと取る必要もあったと思う。再戦指令の件は、WBCから当初、送られてきた文書ではバッティングによるTKOだと勘違いしていたので、再度、WBCに問い合わせたことで時間がかかった。隠蔽していたわけではない。選択試合を行っていいか?と問い合わせてきた松尾会長には説明不足の部分はあったが、今は、納得、理解していただいている」 ――元WBO世界フライ級王者の木村翔(花形)が中国でのエキシビションマッチで異種格闘技まがいの反則行為の被害を受けましたがJBCは調査もしていません。 「私は、すぐに“どうなっているのか?”とスタッフに尋ねた。すると木村選手は2年間ライセンスが更新されていないJBCの管轄外の選手なので”何もできません”という答えだった」