最悪は“分裂”の危機!?日本プロボクシング協会が組織改革進めぬJBCのゼロ回答に承認料など支払い停止の“最後通告”を決議
日本プロボクシング協会(JPBA、花形進会長)が13日、大阪で臨時理事会を開き、日本ボクシングコミッション(JBC)に浦谷信影執行理事の辞職を要求した問題に対するJBCの回答について協議を行った。 JPBAは先月16日に昨年大晦日のWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチで王者の井岡一翔(志成)に対して起きたドーピング問題の不手際に端を発したJBCのガバナンスを問題視し、実務の責任者である浦谷執行理事の辞職を求める決議をまとめ、10月末を回答期限に要望書を提出していた。 だが、それに対する回答は、浦谷執行理事の処遇については触れない事実上の“ゼロ回答”だったため、臨時理事会を開き、今後、浦谷執行理事のボクシング会場への出入り禁止とJPBAがJBCに支払ってきた各種のライセンス料、試合の承認料などの支払いを停止する手段に打って出ることを決定した。JBCの対応に変化がなく、組織改革の意思が見られない場合は、全国の協会員の意見をまとめた上で、早ければ年明けにも、試合におけるJBCの統括、管理をボイコットし、協会が独自に試合役員、レフェリーなどを集めての興行運営に踏み切るという方針も固めた。最悪の場合、ボクシング界“分裂”に発展する危険性さえ出てきてしまった。
辞職を求めたJBC執行理事の進退問題も棚上げ
日本ボクシング界のために堪忍袋の緒が切れたとでもいうべきか。全国のプロジム経営者らで組織されている親睦団体であるJPBAがJBCの“ゼロ回答”を受けて、ついに前代未聞の“最終手段”に打って出ることを臨時理事会で決議した。プロボクシングの“法の番人”とも言えるJBCは、主にJPBAから支払われるオーナー、ボクサー、トレーナー、マネージャーなどの各種ライセンス料、試合ごとの承認料などで運営されている。すでにJBCの内部留保金は、ここまで抱えてきた裁判費用などで枯渇しており、もしJPBAからの支払いが停止されれば、JBCの機能や活動が立ち行かなくなる危険性がある。 JPBAからすれば、決して抜きたくはなかった“最後通告”だが、そうせざるをえないほどJBCへの不信感が限界に達したのだ。 JPBAは、先月16日にJBCへ「ドーピング問題に端を発したJBCの全体的なガバナンスに問題意識を持った。浦谷さんは、長くJBCの責任者として采配されている。協会としては一番責任を追及すべき人物だと、我々が判断した」(新田渉世事務局長)という理由で、浦谷執行委員の辞職を求める要望書を提出した。 協会内からは、井岡のドーピング問題を起こしたJBCの不手際の責任を追及する声が高まり、それを受け永田有平理事長、浦谷執行理事は、進退伺いを提出したことを明らかにしていたが、JBCの理事会にて了承されることはなく、JBCの組織運営に関しての不信感が解消されなかった。そのためJPBAはJBCのガバナンスを健全化させるきっかけになればと厳しい要求を突きつけた。だが、浦谷執行理事は辞職せず、10月末を回答期限に定めていたJBCからの回答も、JPBAが納得できない“ゼロ回答”だったため、当初要望を拒否された場合は「満足の得られる結果が出ることを強く要請する」(新田事務局長)としていたが、臨時理事会が招集され、もう「強い要請」では埒が明かないと判断し、これまでJPBAが捻出していたJBCの運営費の支払いの一部をストップするという“最終手段”に打って出ることを決定したのだ。