なぜ井岡の名誉を傷つけた問題から1年が経過してもJBCのドーピング検査体制は整わないのか…木村翔”反則被害”問題にも静観構え
プロボクシングのWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチが今日31日、大田区総合体育館で王者の井岡一翔(32、志成)と同級6位の福永亮次(35、角海老宝石)との間で行われるが、新しい検査体制が整わないままドーピング検査が実施されることが30日、明らかになった。JBC(日本ボクシングコミッション)の成富毅事務局長が明かしたもの。両選手のドーピング検査に使う採尿は、試合後に行われ、検体は、JBCの冷凍庫で冷凍保管され、年明けの5日に精密検査が可能な検査機関に持ち込まれるが、「まだ完全なもの(ドーピング検査体制)はできていない」という。 井岡が、ドーピング疑惑騒動に巻き込まれたのが、ちょうど1年前の田中恒成戦。JBCは検体の保管の不備や、大麻成分が出たことからJBC内で問題を解決する前に警察にタレ込み、再検査に必要なB検体が押収されて井岡の嫌疑を晴らす検証ができなくなるなど数多くの不手際を起こした。井岡側から日本プロボクシング協会を通じて「ドーピング規定を整備し、ドーピング検査を国際基準にさせること」などの上申書が提出され、JBCもドーピングの検査体制を刷新、整備するため、ドーピング委員会を立ち上げていたが、新しいレギュレーションと検査体制の整備は、1年を経過しても間に合わず、応急措置的に検体保管を徹底して従来の簡易検査ではない、精密検査機関への依頼で、今回の世界戦のドーピング検査は行われることになった。 成富氏は、「大変申し訳ないが、批判を受けても仕方がない。我々も一生懸命やっているが、お願いのできるドクターの選考や委員を揃えることが時間的に難しかった」と、謝罪と説明を行ったが、ドーピング体制の整備が進んでいない理由にはなっていない。NPBやJリーグなどで同様の問題が起きていれば、早急に解決しているだろう。いつできるのか?の問いにも「メドはたっていない。早急にやっている」との返答だった。 国際基準のドーピング検査体制を本格的に整えるには、多大な資金が必要となる。プロモーターへの負担を考えると、そこまで経済負担のかからない独自の検査ルールと体制を整える必要があり、簡単には、進まないことは理解できるが、このスピード感の無さは、JBCが組織として機能していないと言わざるをえない。