「空のFI」日本人パイロット室屋義秀が44歳で挑む壮大な野望!
「空のF1」と呼ばれる最高時速370キロの3次元レース、レッドブル・エアレースの開幕戦(2月10日・UAEアブダビ大会)を前に日本人唯一の参戦パイロットである室屋義秀氏(44)が都内でキックオフミーティングを行い、2017年シーズンへの意気込みを語った。 「目標は、ズバリ総合優勝。シーズンは長いので、初戦から淡々と着実にいきたい。総合優勝するためには全8戦のうち6戦でファイナルに残り、2勝以上が必要になる。スーパーラップをたたき出してくるようなチームも出てくるので、1位にこだわり続けるつもりはない。チームのポテンシャルから言えば、100パーセントを出しきれば、どの大会でもファイナルには進むことはできる」 レッドブル・エアレースは、2月10、11日のアブダビ大会から、10月14、15日のアメリカ・インディアナポリス大会まで、全世界で8大会があり、それぞれの大会で順位を競い、最終的にはポイント制で総合順位を決めるワールドチャンピオンシップである。今季は初めてロシアのカザンでも開催されることになった。大会は、予選、決勝の2日間に分かれ、1対1の勝ち抜きトーナメント戦で最後に残った4機でタイムを競う。室屋が言う「ファイナル」とは、その最後のベスト4に残ることだ。 昨年室谷はシリーズ第3戦となる千葉大会で悲願の初Vを果たした。 室屋は、そこでトップアスリートの多くが体験している極度の集中状態から能力が最大限に発揮されるZONEという世界を味わった。 「スモーク(煙)が出ないというミスがあったが(エンタテイメント性を高まるため煙を出しながら飛行機は飛ぶが、それが出ないとプラス1秒のペナルティ)極めていい状態だった。景色が鮮やかに見え、いわゆるゾーンを体験できた。その後、それを再現しようとしたが、うまくいかなかった」 その後、ZONEの再現を目指したが、「勝ちを意識して焦る」というレースもあり、うまくいかなかった。千葉大会Vの時点で、総合順位が4位まで浮上したが、オーバーGによる失格などのミスもあり、残り4戦で一度も表彰台に上がることができなかった。第7戦のアメリカ・インディアナポリス大会では予選で1位のポールポジションを初めて獲得したが、総合優勝を果たすことになるマティアス・ドルダラー(ドイツ)に、ラウンドオブ8(準決勝)で敗れて5位に終わり、最終戦のアメリカ・ラスベガス大会がコンディション不良で中止となったため、総合では2015年と同じく6位に終わった。 総合優勝したマティアス・ドルダラー(ドイツ)は、優勝3回、2位3回の成績で、80.25ポイントを獲得、千葉大会の優勝のみに終わった室屋は、31.50ポイントだった。 「ミスやトラブルもあった。全体的に力が足りなかった。年間を戦えば、実力どおりの結果となる。ミスも含めてそれくらいの能力だと言うことだが、最終戦がキャンセル(中止)にならなければ、結果次第では3位に届く位置にはいた。10位に落ちる可能性もあったが、チームの底力というか、ポテンシャルは熟成してきたし、今季は優勝を狙えるところにある」