スマホに写る地雷の影…日本の新型探知器でウクライナ復興支援へ #ウクライナ侵攻1年
カンボジアの経験と日本の技術でウクライナ支援
<ドーン!> 今年1月半ば、カンボジア西部のバタンバン州の草原で、轟音とともに黒煙が十数メートル噴き上がった。掘り出した地雷を人から離れた場所に集めて爆発させ、無効化させたのだ。これは、カンボジアのCMACスタッフによる地雷除去技術の研修での一幕。ALISの使用法などの指導を受けていたのはウクライナ非常事態庁の8人で、5日間の研修の運営を取りまとめていたのが日本のJICAだった。
JICA平和構築室室長の室谷龍太郎さんが語る。 「ロシアによる侵攻後、ウクライナに対してどんな協力をすれば復興・復旧に貢献できるか、JICAで検討が始まり、地雷除去は重要な課題なので、日本の技術を活かしたいと考えました。ALISがカンボジアで活用され始めているということで、それならウクライナにも使えるかもしれないと佐藤先生に声をかけたのです」 もともとJICAは1998年以降、カンボジアの地雷除去活動を支援してきた。その経験を活かし、JICAとCMACはこれまでにアンゴラ、イラク、ラオス、コロンビアなど地雷被災国への支援を行っている。 今回のウクライナへのALIS提供に向けた研修もJICAとCMACのタッグで実施した。今年の春ごろには、この両者による2度目の研修がポーランドで行われる予定だ。
「今後、ウクライナに対して農業や教育など多方面からの支援を実施したいと考えていますが、緊急度の高い地雷対策の支援を急速に進めました。今回提供したALISは4機ですが、今後の他の地雷除去機材を含めた追加の機材供与を考えています。処理済みの地雷や不発弾などを運ぶ作業を効率化するため、いすゞ自動車のトラックにタダノ製のクレーンを取りつけたクレーン付きトラックを提供することも決まっています」 こうした協力体制は、この四半世紀の学術界、政府機関などの地雷除去活動が実を結んだ結果なのは確かだ。一方で、地雷除去だけが課題ではないという声もある。