「東京五輪最大のサプライズ」と世界が驚嘆!“ボルト後継”争う男子100m金メダルは“無印”伊のヤコブス…勢力図が混沌化
東京五輪の陸上男子100mの準決勝、決勝が1日、新国立競技場で行われ、イタリアのラモントマルチェル・ヤコブス(26)が9秒80(追い風0.1メートル)の欧州新記録で金メダルを獲得した。イタリア勢のこの種目の金メダルは初。3大会連続で優勝していた9秒58の世界記録保持者ウサイン・ボルト(34、ジャマイカ)が引退。”ポスト・ボルト”は誰か?に世界が注目していたレースだったが、今大会までの自己ベストが9秒95で世界ランキング8位、予選落ちした山縣亮太(29、セイコー)と同タイムという“無印”のダークホースが制した。2位はフレッド・カーリー(26、米)、3位はアンドレ・ドグラス(26、カナダ)。また準決勝では3大会連続出場の中国の蘇炳添(31、中国)が9秒83(追い風0.9メートル)のアジア新記録をマークして初の決勝進出を果たしていた。東京の地で塗り替えられた世界最速レースの勢力図に海外メディアも注目し、ヤコブスの快挙を一斉に報じている。
リハに20時間かけたプロジェクト・マッピングの演出
五輪最大の花形種目である男子100m決勝は、五輪史上初となるプロジェクション・マッピングを使った幻想的なショーから始まった。 場内が暗転。レースを行うレーンがスクリーンとして浮かび上がり、新国立競技場を含む東京の街を俯瞰で捉えたイメージ映像など様々な美しい映像が映し出され、決勝に進んだ8人のスプリンターが一人ひとり紹介された。ド派手演出。世界陸連のサイト「ワールド・アスレチックス」によると、担当者は「ハリウッドスタイルの紹介」と表現しており、主役であるアスリートにスポットライトを当てたものだという。 実は、同じようなプロジェクション・マッピングを使った演出は、2019年にドーハで開催された世界陸上で行われており、それを視察した東京五輪・パラリンピック組織委員会とオリンピック放送機構(OBS)の代表団はこの演出を見て、東京五輪でも同様の光のショーを導入することで合意。ただ「新国立競技場のロジスティックスとイベントプログラムの関係で、光のショーは女子と男子の100m決勝戦でしか実行できない」という。 最新の技術を使った派手な演出のための準備には時間がかかり、リハーサルに20時間を費やしたとしている。いろいろな設備が必要とされるため、今のところはこのような演出をできるスタジアムは限られているそうだ。 決勝に残った8人中7人が予選、準決勝で9秒台を出してくるというハイレベルな決勝は波乱のスタートとなった。4レーンのザーネル・ヒューズ(26、英国)がフライング失格。”一発退場”となり残る7人で仕切り直しのレースとなった。