バスケ・河村勇輝、NBA挑戦の過酷日々…無理との声も意に介さず「必ず同等に戦える」
NBAで戦う河村勇輝選手(23)の密着取材です。 現役選手の中で最も小さい173センチで、世界最高峰の舞台に挑んでいます。河村選手は今、NBAとその下の「Gリーグ」を行き来し、常に結果が求められる「2WAY(ツーウェイ)契約」という過酷な状況にあります。NBA本契約を勝ち取るため、3日はGリーグの舞台に立ちました。 【画像】河村勇輝選手に対するグリズリーズファンの評価は?「体が小さくてもプレーは…」
■「ダブル・ダブル」を2試合連続で達成
グリズリーズ傘下のメンフィス・ハッスルでアピールを続ける河村選手。開始直後、さっそくアシストを記録すると、中央からジャンプシュートを決め、大男たちに囲まれながらもこの日初めてのシュートを成功させます。 その後も順調に得点を重ねていく河村選手。もちろんパスはキレッキレ。フリーになった味方を見逃しません。さらには、173センチと小柄ながら果敢にゴール下へ攻めていきます。 そして圧巻のパスも見せます。中に切り込んで、ノールックパス。まるで背中に目があるかのようです。 河村選手は得点とアシストで2桁を記録するダブル・ダブルを2試合連続で達成。現在Gリーグアシストランキングではトップ。現地ファンのハートをがっちりつかんでいます。 グリズリーズファン 「体が小さくてもプレーはビッグマンのようだ」 「彼が出るとファンは大盛り上がり」
■過酷な2WAY契約の生活
渡米からおよそ2カ月、一気にNBAデビューまで駆け上がった河村選手。ショップには2WAY契約ながらもユニホームが並び、地元・メンフィスで人気が高まっています。 一方で、NBAとGリーグを行き来する2WAY契約の生活は、過酷そのものです。 先月6日の午後1時すぎ、練習を終えた河村選手に話を聞きました。 河村選手 「大体、前日の夕方から夜ぐらいにかけて、次の日のスケジュールが送られてくる。メンフィス・ハッスルで、Gでリーグのほうで練習して(このあと)グリズリーズのほうでも練習して、そのまま夜の試合に帯同する」 Gリーグは、野球でいうマイナーリーグのこと。1チーム15人しかいないNBA本契約へのサバイバルです。2チームを掛け持ちする河村選手は、時には2日間で3試合にベンチ入りすることもあるほど厳しいスケジュールで動いています。 午後4時すぎ、他の選手よりも早くNBAグリズリーズのホームアリーナへ。というのも、実は2WAY契約の選手はシューティングの時間が本契約の選手よりも前と決まっているからです。 河村選手 「何分くらいシューティングできますか?」 チームスタッフ 「15分ぐらいだな」 さらにルーキーでもある河村選手は、リバウンドやパス出し役も務めています。結果を残せなければ解雇もありうる厳しい世界。そんななか、河村選手はあえて通訳をつけずに挑戦しています。 河村選手 「(Gリーグの観客は)何人くらい?」 J.ラレイビア選手 「俺がいた最初の2シーズンは50人とかだった」 河村選手 「50人?」 J.ラレイビア選手 「50人」 河村選手 「ネコの数は入れずに?」 J.ラレイビア選手 「ネコは入れない」 河村選手 「英語が聞き取れないこともほとんど毎日ですけど、自分が望んでいた環境なので。幸せな毎日を送っているかなと思います」 仲間と直接対話する。だからこそ生まれる絆があります。試合に出ていない時間の河村選手は、身を乗り出してチームを盛り立て、仲間を先頭で出迎えます。 実況 「河村の姿がありますね」 解説 「(先頭で出迎えるのが)定位置みたいになっていますね」 そんな河村選手を仲間もちゃんと見ています。取材したこの日は、河村選手にとって記念すべき日となりました。これがNBA初得点、みんなが大歓声で祝福。試合後、仲間たちは試合球に…。 J.ジャクソンJr. 「初得点…っと」 J.ハフ 「改めておめでとう、兄弟」 河村選手 「そういったことをしてくれるチームメート、支えてくれるチームメートが一番の宝物」