球界に激震「ソフトバンクで高卒の育成入団は厳しい」育成ドラフト“まさかの入団辞退”ウラ側…現地で聞いた本音「二軍も出られない」優勝チームのジレンマ
10月のドラフト会議でソフトバンクから育成ドラフト1位で指名されていた古川遼投手(18歳=日本学園高校)が入団辞退することが3日に発表された。 【記事の写真】「育成ドラフト1位…現地で指名の瞬間」「どんな投手? 190cmでカッコいい実際の投球写真」育成ドラフト出身の有名選手たち&「まるでアイドル」井口資仁&工藤公康の若かりし頃まで一気に見る
球界に激震…育成の辞退は初
スポーツ紙各紙の報道では「現在の心境・状況でプロ野球の世界に飛び込む決心がつかず、入団辞退という結論に至りました」とのコメントが紹介され、さらに「この結論は、ソフトバンクホークス様に対する不安や、不満ではございません。あくまでも、本人の心境・心情の変化による進路変更でございます。本人・ご家族ともに悩んだ末の決断ですので、この点につきましてご配慮頂けましたら幸いに存じます。本人は指名して頂いたことは大変喜んでおり、ソフトバンクホークス様には本当に感謝しております。現在は大学進学に向けて準備をしており、4年後に必ずソフトバンクホークス様や、他の球団に上位指名をして頂けるような選手になると、前向きな気持ちでおります」とも、同校野球部の部長名での文書も公表された。 18歳の若者が自身の将来について真剣に考え抜いたうえでの決断だったのは間違いない。彼が進む道の先でまた明るい未来と出会えるのを応援したいと思う。ソフトバンク球団の編成トップである永井智浩編成育成本部長兼スカウト部部長も「残念ですけど、仕方ない。本人の意思がそういうことであれば」と話し、「一度評価した選手ですし、大学進学後もしっかり追いかけたい」と引き続き密着マークしていく意向も示した。 ドラフト指名選手が入団辞退したケースは、2016年の山口裕次郎投手(履正社→日本ハム・ドラフト6位、その後JR東日本)以来。ソフトバンクがドラフト指名した選手から入団を辞退されたのは、前身のダイエー時代の1991年ドラフト4位指名した三井浩二投手(足寄高校。その後新日鉄室蘭と新日鉄広畑を経て2000年の西武ドラフト2位で入団)以来、33年ぶりのことになった。 そして、ソフトバンクは2005年の第1回育成ドラフト会議開催から積極的に同制度を活用してきたが、育成ドラフトで指名した選手の入団辞退は初の事例だった。 1990年代初頭まではドラフト指名された選手の入団辞退がほぼ毎年のように起きていたのだが、近年では珍しい出来事ということもあり発表当日には大きなニュースとして取り扱われた。しかし、一方でソフトバンクにおいては今後もこのような事態が起こり得るのではないかとも考えられる。 ソフトバンクは育成ドラフト出身の大スター、いわゆる「育成の星」を数多く誕生させてきた。千賀滉大投手(2010年育成4位)、牧原大成選手(同年育成5位)、甲斐拓也(同年育成6位)、石川柊太投手(2013年育成1位)、周東佑京選手(2017年育成2位)……といくらでも名前が挙がる。 成功例を作り出していく中で、育成環境も拡充された。その最たるものは2023年に導入された四軍制だろう。 しかし、組織が大きくなるにつれ、それに伴う課題も見られるようになってきた。 今オフのリチャード選手の“移籍志願”や、今年育成から支配下登録されたばかりで一軍を経験して二軍でも好成績を残した三浦瑞樹投手や仲田慶介選手の両名が自由契約(育成再契約の打診つき)になるなど、シビアな面が表面化するようになった。 常勝チームを作るべく戦力整備をする。数多くの選手を抱えながらそれを行っていくことで、競争の「枠」からこぼれ落ちる選手はどうしても出てきてしまう。
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