「東京五輪最大のサプライズ」と世界が驚嘆!“ボルト後継”争う男子100m金メダルは“無印”伊のヤコブス…勢力図が混沌化
好スタートを切ったのはカーリー。そのままリードを保つが、中間走から終盤にかけてヤコブスが一気に前へ出た。ゴールの瞬間は上体を下げて胸を突き出し、同時に横のカーリーを見て金メダルフィニッシュを確認する余裕まであった。2位のカーリーとは0.04秒差。距離で言えば約40センチである。 記録は9秒80。ボルトがロンドン五輪で叩き出した大会記録の9秒63には遠く及ばなかったが、準決勝で更新していた9秒84の自己ベストをまた更新して“新・世界最速男”の称号を手にした。 「夢だ。本当に感動的だ。信じられないことが起きた」 ヤコブス自身が成し遂げた快挙に驚くほど。 米国テキサス州エルパソで生まれたヤコブスは幼い頃にイタリアに移住し、現在はローマ在住。10歳で競技を始め、これまで2018年の欧州選手権、2019年の世界選手権の男子100mに出場しているが、いずれも準決勝敗退。自己ベストは9秒95で五輪は初出場という“無印”の選手だった。 2004年アテネ五輪のジャスティン・ガトリン以来となる金メダル奪回のならなかった米メディアも一斉にこの衝撃の結末を報じた。 「イタリアのヤコブスが男子100mで金メダルを奪い世界に衝撃を与えた。米国のカーリーは銀メダル」という見出しを取って報じたのはスポーツイラストレイテッド誌だ。 「ボルト以降の五輪男子100mの時代はイタリア人の金メダルから始まるのか? 東京五輪における最大のサプライズのひとつとして、イタリアのヤコブスが自己ベストと欧州記録を更新して優勝した」と驚きを持ってレポートした。 USAトゥディ紙は「10年以上にわたり男子100mの頂点に君臨してきた人物がいた。五輪で金メダルを獲得し、世界選手権でも優勝し、誰にも真似のできない伝説的なレースを展開していたボルトだ。その彼が引退した今、東京五輪では彼の不在をチャンスとして世界最速の男の称号を求めて多くの選手が競い合い、イタリアのヤコブスがそれを手に入れた」と伝えた。