日銀・黒田総裁会見12月17日(全文1)若干の円安はわが国経済にプラスに作用
日銀の黒田東彦総裁は金融政策決定会合後の17日午後、記者会見を行った。 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは、「日銀・黒田総裁、金融政策決定会合後に定例会見(2021年12月17日)」に対応しております。 【動画】日銀・黒田総裁、金融政策決定会合後に定例会見(2021年12月17日) ◇ ◇
資金繰り支援特別プログラムの一部を半年間延長
読売新聞:すいません、幹事社の読売新聞、【セキネ 00:02:08】と申します。よろしくお願いいたします。総裁のほうから今日の会合についてご説明をお願いいたします。 黒田:日本銀行は本日の決定会合において、引き続き中小企業等の資金繰り支援に万全を期す観点から、来年3月末に期限を迎える新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラムの一部について、期限を来年9月末まで半年間延長することを全員一致で決定しました。 新型コロナウイルス感染症は引き続き内外経済に大きな影響を及ぼしていますが、わが国の金融環境は全体として改善しています。大企業について見ると、CP・社債市場は良好な発行環境となっているほか、貸し出し市場でも予備的な流動性需要に落ち着きが見られます。中小企業の資金繰りについては総じて見れば改善傾向にありますが、対面型サービス業など、一部にはなお厳しさが残っています。こうした情勢を踏まえ、新型コロナ対応金融支援特別オペのうち、中小企業等向けの資金繰り支援に相当する部分を半年間延長することとしました。 具体的にはコロナオペのプロパー融資分については現行の取り扱いのまま、期限を半年間延長するとともに、制度融資分についても付利金利を0%、マクロ加算残高への算入は利用残高相当額とした上で、バックファイナンス措置として期限を半年間延長します。コロナオペのうち、大企業向けや住宅ローンを中心とする民間債務担保分については期限どおり終了します。
基調としては持ち直していると判断
また、CP・社債等の買い入れ増額措置についても期限どおり終了し、来年4月以降は感染症拡大前と同程度の買い入れペースに戻します。また、本日の決定会合では長短金利操作の下での金融市場調節方針、長期国債以外の資産買い入れ方針について、これまでの方針を維持することを決定しました。 次に経済・物価情勢について説明します。わが国の景気の現状については、内外における感染症の影響から引き続き厳しい状態にあるが、基調としては持ち直していると判断しました。やや詳しく申し上げますと、海外経済は国・地域ごとにばらつきを伴いつつ、総じて見れば回復しています。そうした下で輸出や鉱工業生産は供給制約の影響による弱い動きが残っているものの、基調としては増加を続けています。また、企業収益や業況感は全体として改善を続けています。設備投資は一部業種に弱さが見られるものの、持ち直しています。 雇用・所得環境を見ると、感染症の影響から弱い動きが続いています。個人消費は感染症によるサービス消費を中心とした下押し圧力が幾分和らぐ下で、徐々に持ち直しています。先行きのわが国経済を展望しますと、感染症によるサービス消費への下押し圧力や、供給制約の影響が和らいでいく下で、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて、回復していくとみられます。 物価面では生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、携帯電話通信量の引き下げの影響が見られる一方、エネルギー価格などは上昇しており、0%程度となっています。また、予想物価上昇率は持ち直しています。先行きについては目先、エネルギー価格の上昇を反映してプラス幅を緩やかに拡大していくと予想されます。その後は一時的な要因による振れを伴いつつも、マクロ的な需給ギャップの改善や、中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、基調としては徐々に上昇率を高めていくと考えられます。