来年3回の利上げ計画 タカ派に傾いたが想定よりタカ派色は強くなかったFOMC
米FRB(連邦準備制度理事会)は15日(現地時間)のFOMC(連邦公開市場委員会)で、量的緩和終了の前倒しや来年3回の利上げを実施する方針を決めました。高インフレ懸念の中、金融引き締めに傾いた格好です。第一生命経済研究所・藤代宏一主任エコノミストに今回の決定のポイントを解説してもらいました。 【グラフ】ついに米国にインフレが来てしまったのか?
◇ 15日に2021年最後のFOMCが終わりました。FRBは(1)量的緩和を早期に終了するとともに、(2)2022年に3回の政策金利引き上げを実施する計画を示しました。以下でポイントを整理します。
資産購入の減額ペース加速 来年3月に終了予定
2020年3月以降、FRBは景気を下支えするために毎月1200億ドルの資産購入(国債:800億ドル、MBS=不動産担保証券:400億ドル)を実施してきました。その後の景気回復の進展を受け、FRBは前回の11月FOMCで毎月150億ドル(国債:100億ドル、MBS:50億ドル)ずつ資産購入を減額し、2022年6月までに終了する計画を示しました。いわゆる「テーパリング」です。 しかしながら、その後発表された経済指標は労働市場の順調な回復と、インフレ率の高止まりが予想以上であることを示しました。そうしたデータを受けてFRBは量的緩和の早期終了が正当化されると判断し、今回の12月FOMCで資産購入の減額ペースを毎月300億ドル(国債:200億ドル、MBS:100億ドル)に倍増し、資産購入を2022年3月までに前倒しで終了する計画を示しました。
2022年に「3回」の利上げ見通し 初回は6月の可能性
FRBが3か月に一度公表する政策金利見通し、通称「ドットチャート」(図あり)に基づくと、2022年末の政策金利見通しは1.0%(以下、全てFF金利上限値)でした。現在の政策金利は0.25%ですから「0.25%の利上げを3回実施する」という意味です。18人のFOMC参加者のうち、10人が3回の利上げを支持し、2人が4回の利上げを支持。2回以下の利上げを支持する参加者は6人でした。 四半期ごとの利上げを前提とするなら、初回の利上げは来年6月が有力視されます。パウエル議長が記者会見で「量的緩和の終了から利上げまでそれほど長い時間の遅れはないだろう」と発言したことから判断すると、そう考えるのが自然に思えます。その後は9月と12月の追加利上げが有力視されます。なお市場参加者の政策金利見通しを反映するFF金利先物の水準は、2022年に約3回の利上げがあることを織り込んだ水準で推移しています。今回FRBが示した利上げ見通しはおおむね市場参加者の想定通りと言えます。