日銀・黒田総裁会見12月17日(全文3完)イールドカーブ・コントロールは異常な政策ではない
日銀の黒田東彦総裁は金融政策決定会合後の17日午後、記者会見を行った。 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは、「日銀・黒田総裁、金融政策決定会合後に定例会見(2021年12月17日)」に対応しております。 【動画】日銀・黒田総裁、金融政策決定会合後に定例会見(2021年12月17日) ◇ ◇
財務省が持つ理事の枠は日銀に譲るべき?
記者:すいません、【マーケットニュースのイノウエ 00:52:57】と申します。金融政策、経済のお話じゃないんですけど、日銀の理事のお話なんですけど、今、枠が6個あって、そのうちの1つが必ず財務省の方が来られていると思うんですけど、日銀法で別に決められているわけじゃないし、優秀な方が来ているというのは承知しているんですけれども、専門家でない方が来て、調査統計担当の理事をやられていると思うんですけど、やはり日銀のインセンティブというか、現状の日銀のプロパーの方のインセンティブを高めるということから考えれば、大蔵省の来るところの枠を日銀の方に譲る。やっぱりプロパーの総裁にはできないので、財務省出身の黒田総裁にしか決断できないと思うんですけれども、その辺をどう見られているか、お願いいたします。 黒田:現在の6人の理事の方は、理事の任命権は財務大臣にありますので、私どもからもちろんこういう人が望ましいとか、いろんなことは申し上げられますけども、あくまでもこれは財務大臣が決めるということでありますので、それ以上のことを私が申し上げるつもりはありません。
円安はプラスの効果が大きいという見解で一致しているのか
東京新聞:東京新聞の皆川です。円安につきまして、総裁、先ほどプラスの効果がマイナスの効果を上回っているとおっしゃいました。確かに企業収益が上がる側面はあると思いますけれども、賃金が上がらない中で、家計のほうに着目しますと、マイナスの効果のほうが大きいという議論もありうると思います。そこで、政策委員の皆さんが円安はプラスの効果が大きいということで見解が一致しているのか、それともほかにも意見を持っていらっしゃる方がいるのか、ちょっと委員会内部の議論についてご紹介いただければと思います。 黒田:委員会内部の議論はご承知のように議事要旨とか、その前の議論になったポイントとかなんかが公表されますので、それでご覧になっていただけたらいいというふうに思います。いずれにしても、為替レートについてはまずは第一に為替政策とか介入政策が、これは政府の役割なわけですね。私どもとしてはもちろん、為替レートのチャネルを通じていろんな経済・金融に影響が出ますので、そういうところの動きを十分フォローしていく必要があるというふうには考えています。 そういう面で、先ほど申し上げたように、現時点で何か円安が経済全体にとってマイナスになるっていうような状況ではないと。企業収益が縮んでしまえば賃上げの余地もむしろ縮んでしまいますので、なんて言うんでしょうか、円高になって、輸入するものの価格が下がって、それで家計に必ずプラスになるというものでもないわけですね。賃金とか物価とか、その他さまざまな要因に影響が出ますので、ですからそういうものを全体として見たところで、今のところ、この円安が経済にマイナスというよりも、むしろプラスの面が大きいという見方ということだと思います。