日銀・黒田総裁会見12月17日(全文2)薄日が差してきたところではないか
日銀の黒田東彦総裁は金融政策決定会合後の17日午後、記者会見を行った。 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは、「日銀・黒田総裁、金融政策決定会合後に定例会見(2021年12月17日)」に対応しております。 【動画】日銀・黒田総裁、金融政策決定会合後に定例会見(2021年12月17日) ◇ ◇
企業などの前向きな取り組みを支援したい
黒田:ですから、そういう中で、今年を振り返ってどういうふうに思うかっていうのはなかなか難しいところなんですけども、一言で言えば、感染防止と経済活動の両立が進んできて、わが国でもコロナ克服と経済正常化に向けて薄日が差してきたというところではないかと。欧米のほうはもっと強いんですけども。そういう感じを思っております。 もちろん、いろいろな不確実性も残っておりますし、2022年を展望すると、どうかといわれると不確実性はあると思うんですけども、何よりもこの感染症の影響が収束して、景気回復が本格化するということを願っておりますし、また一方でポストコロナを見据えて、デジタル化、あるいは脱炭素化へ向けた対応っていうことは、政府も相当、力を入れていますけども、今回の危機を契機に将来の成長につなげていくっていうことも重要ではないかというふうに思いますので、日本銀行としては緩和的な金融環境を維持することで、企業などの前向きな取り組みを支援していきたいというふうに考えております。
想定以上にインフレが上振れた場合の備えは
日本経済新聞:日本経済新聞の後藤と申します。よろしくお願いします。2点伺います。まず物価見通しについてですけれども、メインシナリオは基本的に変わっていないということかと思いますけれども、海外ではインフレの圧力が一段と強まっています。日本の物価もこのメインシナリオよりも上振れるリスクっていうのは高まってきているのかどうか。また想定以上にインフレが上振れた場合は政策対応の備えがあるのかについてお聞かせください。こちらが1点目です。 2点目は資産購入についてなんですけれども、昨年4月に長期国債については80兆円の上限を設けない形に修正いたしましたけれども、最近を見ると前年と比べた増加額は20兆円を下回ってきていまして、短期国債も合わせると残高は前年同月よりも少ない状況になっています。ETFも同様に今年の春以降、購入は大きく減っています。総裁は粘り強く緩和を続けるとおっしゃっていますが、実態としては量的緩和は大きく縮小しているといえるかと思います。2%の目標の達成が遠い中で、こうした購入額の減少について、これはどういった判断によるものなのか、購入のお考え方をお聞かせください。よろしくお願いいたします。 黒田:まず物価の上昇については、確かにわが国の場合、もうご承知のように企業物価がもう相当に上がってきているわけですね。11月には前年比9%ということで、41年ぶりの上昇っていうことになって、基本的に先ほど申し上げた国際的な、エネルギーその他の商品価格の上昇が反映しているわけですけれども、そうした下で日銀の短観とか民間のいろんな物価の見通しとかなんかを見ますと、少し、従来よりもちょっと見通し、あるいは予想物価上昇率も少し上昇してきているということは事実なんですね。 ただ、これは来年1月の金融政策決定会合は確か展望レポートをまとめる機会だと思いますけれども、その際にまた政策委員会のメンバーから経済・物価の見通しを聞いて、そのリスクバランスも聞くということになると思うんですけれども、前回の展望レポートですと、物価上昇率についてはダウンサイドリスクのほうが多いという見方がどうも多いんですね。ですから、その中心見通しがどのぐらい上がるのか、上がらないのかですね。