セブンが総額9兆円でMBO、会社は創業家から買収提案と発表
(ブルームバーグ): セブン&アイ・ホールディングスが13日午後の適時開示で、創業家である伊藤家から法的拘束力のない買収提案を受けていることを明らかにした。それに先立ち同社が創業家や伊藤忠商事などから出資を受け、銀行融資を合わせて総額9兆円規模で全株式を買い取るMBO(経営陣が参加する買収)を計画していることが報じられており、それを一部認めた形だ。
セブン&アイは一部報道についてと題した開示資料で、特別委員会で同提案についてファイナンシャルアドバイザーやリーガルアドバイザーを交えて慎重かつ包括的な検討を行っているとした。同社のMBO計画についてはブルームバーグが同日午前に報じていた。セブン&アイは現時点ではいずれの買収提案についても何ら決定しておらず、社外取締役で構成する特別委員会のスティーブン・デイカス委員長は「価値最大化に向けて各関係者との対話を継続する」とコメントした。
報道を受けて売買停止となっていたセブン&アイ株は午後2時29分に取引を再開。一時前日比17%高の2599円を付け、ブルームバーグにデータが残る2005年9月以来の日中高値となった。終値は12%高の2490円だった。
セブン&アイはカナダのコンビニエンスストア大手アリマンタシォン・クシュタールから総額7兆円に上る買収提案を受けている。匿名を条件に話した同関係者らによると、MBOはクシュタールが合意がないまま買収に踏み切った場合などへの防衛策として、創業家や伊藤忠、取引銀行などが具体的な協議に入っている。
現在検討されている案では伊藤家と伊藤忠などが3兆円程度を出資。セブンの主力取引銀行である三井住友銀行を筆頭に、三菱UFJ銀行、みずほ銀行の3メガバンクが総額6兆円規模の融資を実行する方向で協議している。
売上高10兆円を超える企業の非公開化は前例がなく、実現すれば国内企業のMBOとしては過去最大となる。これまでは大正製薬ホールディングスが今年実施した7000億円規模が最高額だった。国内企業によるM&Aとしても過去最高だった武田薬品工業によるシャイアー買収の7兆円規模も上回る。