日銀・黒田総裁会見12月17日(全文1)若干の円安はわが国経済にプラスに作用
現在の強力な金融緩和を粘り強く続ける
一方、わが国の消費者物価の前年比を見ますと、全体として0%程度となっております。もちろんその中には携帯電話通信量の引き下げの影響が-1.5%程度の下押し要因になる一方で、エネルギー価格の上昇、昨年のGo To トラベルの裏要因の押し上げ要因などが重なっているわけですけれども、これら一時的な要因やエネルギーを除いたベースの物価上昇率を見ても、+0.5%程度ということになっておりまして、目標の2%とはなお距離があります。 また、先行きの消費者物価を展望しても、前年比上昇率は日本銀行の現在の見通し期間の終盤である2023年度にかけて徐々に高まっていくとはいえ、1%程度の伸びにとどまるというふうに予想をしております。日本銀行としては2%の物価目標を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくという方針であります。 読売新聞:ありがとうございました。では各社どうぞ。
欧米との金融政策の違いが鮮明に。注意すべき点は
朝日新聞:朝日新聞の津阪と申します。今の質問にちょっと関連してお尋ねしたいんですけれども、日本と欧米の金融政策の違いが来年からまたさらに鮮明になってくるわけですが、あらためてですけれども、日銀として金融政策運営上、特に注意しなきゃいけない点、配慮しなきゃいけない点っていうのは、どういった点にあるかお考えお聞かせいただけますでしょうか。 黒田:基本的に従来から申し上げているように2%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するということが日本銀行の物価安定の責務であるというふうに認識しておりますので、それに向けて必要な金融緩和を粘り強く続けていくということに尽きると思いますけども、その際に特にわれわれとして重視しているのは、単に物価が上がればいいっていうことではなくて、賃金、物価がともに上昇していくっていう中で物価上昇率が2%に収斂していくということが望ましいというふうに考えておりますので、当然のことながら経済全般の状況、雇用の状況、雇用者所得、そして特に賃金の動向といったものにも十分配慮しながら金融政策を運営していくということに尽きると思います。 目標は2%の物価安定の目標の達成ということに尽きますし、その過程で賃金、物価がともに上がっていく、経済全体としてもいわゆる好循環というものが実現するということが、やはり安定的に物価の目標を達成するためにも重要ですし、そもそも日本銀行法で、日銀の使命として、物価の安定を通じて経済の健全な発展をもたらすような努力をするっていうことになっていますので、まさにそれに沿ってしっかりと必要な金融緩和を続けていきたいというふうに考えています。