第163回芥川賞受賞会見(全文)高山羽根子さん「もうちょっと書かせていただける」
新型コロナ感染拡大下での受賞に感じるところがあれば
毎日新聞:毎日新聞社の【タナベ 00:15:41】と申します。おめでとうございました。 高山:ありがとうございます。 毎日新聞:今回、受賞作の中でリモートワークを彷彿させるような場面があって、ちょうど今、コロナウイルスの感染拡大下ではあるんですけども、今の時期での芥川賞受賞ということに対して、何か特別な思いというか、お感じになられるところがあれば教えていただけますでしょうか。 高山:リモートワークとかそういったものはあとからちょっと、本を書かせて、その話を書かせていただいたのはもう1月よりもずっと前なので、去年とかそういった形なので、だいぶ想像つかないようなシンクロの仕方をしてしまったかと思うんですけど、今やっぱりリモート的なものも、もちろん自分たちの場所、場所、場所って、もちろん、特に沖縄なんかだと、すごく場所に対する意味っていうのがすごく強い場所だと思うんです。もちろんほかの都市もそれなりに全部、場所についての物語じゃないですけど、場所の意味っていうのがあって。 そこと、今、この技術を使えば、ある程度はつながることができて。宇宙であったり。ある程度の広さであれば。もちろん地球上であれば、ある程度のところはつながることができて。ただ、それってもう、困難みたいなものとか怖さとか、そういった、ちょっと気味悪さって言っちゃったらあれなんですけど、不安とか不穏とか、そういったものは絶対出てくると思うんです。そういうものも含めて書きたいというか、書いていけたらいいなっていう気持ちはすごく強くあります。大丈夫ですか。 毎日新聞:ありがとうございます。あともう1つなんですけども、高山さん、野球がすごくお好きだということで、今回3回目でのご受賞なんですが、残塁っていうようなことで表現されてきたかと思うんですけども、今の状況を野球で例えるとどんな言葉になりますでしょうか。 高山:どうですかね。今、それこそ別のプレイボールが掛かった感じですかね。今、これがゴールという感じでは全然なくて、また1つスタートライン、試合のフィールドの端っこに立たせていただくことができたかなっていうぐらいの感じですかね。 毎日新聞:どうもありがとうございました。 司会:ありがとうございました。では、右側の白いシャツの方、お待たせしました。お願いします。今、手。はい、そうです。