第163回芥川賞受賞会見(全文)高山羽根子さん「もうちょっと書かせていただける」
場所に対する思いを聞きたい
中日新聞:中日新聞の【タニグチ 00:19:04】です。受賞おめでとうございます。 高山:ありがとうございます。 中日新聞:今回、講評でも吉田先生のほうから、高山さんが何を書きたいのかがすごいはっきり見えてきたということと、場所について、この作家さんは書かれるんだということをおっしゃっていたんですけれども、高山さんのご縁のある、生まれた地である富山だったり、大学時代過ごした東京についてこれから書く予定だったり、場所に対しての思いを伺えればと思います。 高山:そうなんです。富山のお話、書きたいなっていうのはすごくありまして、ただ、やっぱり先ほどもお伝え、お話ししたんですけど、やっぱり行かないと書けないことってすごくたくさん、私が拙いだけなんですけれども、行って、取材っていうのともまた違っていて、行って、その場に立って書かないといけないものみたいなのが、ことがたくさんあって、今やっぱりこのご時世で、なかなか取材というか、そういものがちょっと難しい状況になっているのと、今、縁があって東京のほうに住まいがあるんですけれども、今、去年おととし、だから18、19、20、21と、2019、2020、2021と、もう東京のあちこちがものすごく変わってるんです、風景が。 渋谷もそうですけど、築地とかもそうだし、築地っていうことは、銀座のこっち側とか、あとは海の近くのほうとか、あとは虎ノ門とかあっちのほうもそうなんですけど、2020の前後ですごく変わっていて、それを記録したいなという気持ちはすごく今、あります。記録というか、書かなければいけないもののうちのとても大きな1つなんじゃないかなという気持ちは今、あります。 中日新聞:ありがとうございます。富山県美術館で実際に高山さんが解説するという企画もあったと思うんですが、これもコロナで延期になってしまって。 高山:そうなんですね、申し訳ないことに。